eスポーツは、教育的な価値についても注目されています。その結果、高校生の部活動としてeスポーツ競技が認められるケースも増えてきており、高校生のeスポーツレベルの上昇も近年目覚ましものがあります。
そんな高校生のeスポーツ事情ですが、これから高校生になる人のなかには「eスポーツ部に興味があるけど、どのように活動するのか分からない」「高校生がeスポーツ大会に出れるの?」など、疑問に思うことも多いでしょう。
この記事では、高校で行うeスポーツの部活がどのように行われているのか、部活動に所属しなければeスポーツ大会には出場できないのか、高校生を対象としたeスポーツ大会などについて詳しく解説します。
高校でeスポーツをしたいと考えている人や部活に所属するか個人でeスポーツをするか悩んでいる人などは、ぜひ参考にしてみてください。
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高校生にeスポーツの部活動が人気
近年、高校生でもeスポーツプレイヤーとして活躍する選手が増えてきており、学校によっては部活動として活動環境を提供し、指導しているケースもあります。
eスポーツ業界でも、知名度の浸透や若手選手育成を目的として高校の部活動を対象にしたeスポーツ大会を開催するなど、高校生のeスポーツ部活動を推奨している状況です。
2021年にソニー生命が行ったアンケートによると、男子中学生が将来なりたい職業の第2位にプロeスポーツプレイヤーがランクインしています。将来を切り開くための足がけとして高校から本格的にeスポーツを始めたいと考えているケースも多く、高校を選択する際にeスポーツ部があることを条件にする人も少なくありません。
一方で、野球やサッカー、吹奏楽、演劇など古くからあった部活動と比べると、生徒自身も保護者も、eスポーツ部の実態や活動内容について「想像もつかない」と不安を感じている声が多く聞かれます。
参照:中高生が思い描く将来についての意識調査2021(ソニー生命)
高校生はeスポーツ部でどのような活動をしている?
eスポーツ部に所属している高校生は、一般的に平日の放課後の時間を使って他の部活動同様に活動を行います。
部室にeスポーツ環境を整えているケースや、学校の情報室(パソコン室)を利用しているケースも見受けられます。部活動中はどのようなゲームでも出来る訳ではなく、eスポーツタイトルの中から部活動として取り組むタイトルを決めていることが多いです。
また、高校のeスポーツ部では部活動として取り組むため、ソロ(1人)プレイがメインのタイトルよりも、チームプレイがメインのタイトルを採用していることが多いのも特徴のひとつと言えます。
単純にゲームをするだけではなく、部活動で目標を定め、ディスカッションし、より競技を有利に進めるための知略を養います。
eスポーツ自体がまだまだマイナースポーツであるため、専門的に教えられる顧問の先生などはほとんどおらず、教師と生徒が一緒に情報収集をしながら試行錯誤して部活動を行っているパターンが多いです。
近年、高校の部活動を対象にしたeスポーツ大会なども盛んに行われており、部活動の目標としてeスポーツ大会の出場などを掲げていることがあります。
高校生を対象としたeスポーツ大会
近年、参加対象を高校生に絞ったeスポーツ大会なども行われ、ライブ配信がされるなど盛り上がりを見せています。今回は、特に大規模な高校生対象のeスポーツ大会や新しい取り組みを行っている大会を紹介していきましょう。
STAGE:0(ステージゼロ)
STAGE:0は、同じ高校内で結成したチームを対象とした高校生限定のeスポーツ大会です。2019年に初開催されて以降、2024年で6回目の開催を迎えました。例年、大変な盛り上がりを見せるeスポーツ大会のひとつとして、プロeスポーツプレイヤーからも注目されています。
大会の規模としては非常に大きく、全国大会セミファイナルと全国大会ファイナルについてはオフライン大会でLIVE配信も行われます。
競技タイトル
STAGE:0の競技タイトルは、開催年によって異なります。2024年大会では以下のタイトルが競技タイトルとして選出されました。
- CLASH ROYALE
- FORTNITE
- LEAGUE OF LEGENDS
- VALORANT
- OVER WATCH2
ちなみにFORTNITEでは、2人1組のデュオでバトルロイヤル部門とゼロビルド部門が開催されました。
2024年大会の優勝高校・チーム
STAGE:02024年大会は既にファイナルまで終了しており、結果は以下のとおりです。
部門 | 優勝チーム | 所属高校 |
CLASH ROYALE | TTTNSquad | 立命館宇治高等学校(京都府) |
FORTNITE バトルロイヤル部門 | しぇろんていらー | ネサンス高等学校(東京都) |
FORTNITE ゼロビルド部門 | さじぴー | N高等学校(沖縄県) |
LEAGUE OF LEGENDS | がってぃんてぃんDX | ルネサンス高等学校(神奈川県) |
VALORANT | 東京に行くために | ルネサンス豊田高等学校(愛知県) |
OVER WATCH2 | Telomere | N高等学校(沖縄県) |
ネット通信制高等学校として知られるN高等学校やルネサンス高等学校は、いち早くeスポーツ部を創設した高校としても有名です。いわゆる強豪校と言える2校が今回のSTAGE:0で特に好成績を残しています。
2025年大会の予定はある?
STAGE:0は2025年大会の開催も決定しています。2025年大会のファイナルは関西万博で行われることも決定しており、特に注目を集めています。
National High School ESRORTS CAMPIONSHIP(NASEF JAPAN 全日本高校eスポーツ選手権)
高校生向けeスポーツ大会の先駆けとして行われていた全国高校eスポーツ選手権の後継大会とも言える同大会。主催団体であるNASEF JAPANは、国際教育eスポーツ連盟ネットワーク日本本部が正式名称であり、eスポーツを通じて教育や人材育成を行う事を目的としている団体です。
National High School ESRORTS CAMPIONSHIPの出場資格は、高校生であることだけです。チームで出場する場合は、同じ高校のメンバーで構成されていることが出場条件となります。
競技タイトル
National High School ESRORTS CAMPIONSHIPの競技タイトルは以下のとおりです。
- FORTNITE
- LEAGUE OF LEGENDS
- VALORANT
また、エキシビションとして以下のタイトル部門も設置されています
- APEX-LEGENDS-
- ストリートファイター6
2024年大会の優勝高校・チーム
National High School ESRORTS CAMPIONSHIPは2024年9~11月にかけてオンライン予選を行っているため、現時点(2024年10月)では優勝者は決まっていません。決勝戦はFORTNITE、LEAGUE OF LEGENDS、VALORANTはオフライン、APEX-LEGENDS-、ストリートファイター6はオフラインにて、2024年12月末に行われる予定です。
2025年大会の予定はある?
National High School ESRORTS CAMPIONSHIPは、2024年10月時点で2025年大会についての情報は発表されていません。
ポケモンユナイト甲子園
ポケモンユナイト甲子園は、高校生を対象としたポケモンユナイトの公式全国大会です。任天堂の誇る大人気タイトル「ポケットモンスター」のMOBAゲームであるポケモンユナイト。ポケモンユナイト甲子園は2024年大会で3回目の開催を迎えました。
ゲームの人気が上昇するにつれて、レベルも上昇しポケモンユナイト甲子園も毎年白熱したバトルが見られます。人気芸能人達が応援マネージャーとして大会を盛り上げる他、決勝大会は日本テレビスタジオで行われLIVE配信されます。
参加条件は同じ高校の生徒同士5人1組のチームで出場することです。
競技タイトル
ポケモンユナイト甲子園の競技タイトルは、ポケモンユナイトのみです。
2024年大会の優勝高校・チーム
ポケモンユナイト甲子園の2024年大会、優勝チームは茨城県のS高等学校から出場したチーム「Solo S School」でした。
S高等学校はネット通信制高校として知られるN高等学校のグループ高校です。
ちなみに、準優勝は福島県の福島県立福島高等学校から出場したチーム「JP Apricot」です。県立高校のeスポーツ部が大会で好成績を出したことにも大きな注目が集まり、決勝戦では両チームの白熱した戦いに会場が熱狂しました。
2025年大会の予定はある?
ポケモンユナイト甲子園2025については、開催決定の情報等はありません。2022年の初開催より3年連続で開催されていることを考えると、2025年大会も開催される可能性が高いでしょう。
一方で2026年はポケモンユナイトのアジアチャンピオンリーグ開催が決定しています。ポケモンユナイトの世界的イベントとなるため他の大会を開催しない可能性もあります。ポケモンユナイト甲子園2025が開催されるかどうかは、公式サイトをチェックしておくのが良いでしょう。
HYOGO高校Eスポーツ大会
eスポーツ大会の多くは、一般企業や法人などがスポンサー企業と共に開催していることが多いです。しかし、2024年に行われたHYOGO高校Eスポーツ大会は、史上初の自治体主催でeスポーツ大会を開催していることが話題になりました。
同大会はeスポーツを部活動として取り組む高校生に、活躍の場や目標となる場を提供することを目的として開催されました。
HYOGO高校Eスポーツ大会は、兵庫県内の高校から部活動単位で参加をするHYOGO部活動トーナメントと、部活動外で参加するHYOGOフレンドカップの2部門が開催されます。決勝トーナメントはHYOGO部活動トーナメント予選の上位3チームとHYOGOフレンドカップ予選1位の計4チームが進出し、兵庫県最強の高校生eスポーツチームを決定します。
HYOGO部活動トーナメント予選を勝ち抜いた上位3チームは、決勝大会前にプロeスポーツプレイヤーからコーチングを受けられるなど、特典にも注目が集まりました。
競技タイトル
HYOGO高校Eスポーツ大会の競技タイトルはVALORANTです。VALORANT は、FPSジャンルのなかでも特に人気が高く、世界大会でも競技タイトルに選出される定番ゲームとして知られています。
2024年大会の優勝高校・チーム
HYOGO高校Eスポーツ大会は令和6年1月20日から開催され、決勝大会は2月12日に開催されます。そのため現時点(2024年10月)では、優勝者は決定していません。
2025年大会の予定はある?
HYOGO高校Eスポーツ大会の2025年大会については、2024年10月時点で開催の情報等はありません。自治体の主催大会のため、今大会の反響などをみて次回大会の開催を検討する可能性が高いです。
高校生を対象としたeスポーツ大会では賞金はでる?
eスポーツと言えば、優勝者に莫大な賞金が贈られることでも有名です。世界大会ともなると何千万円、何億円など、想像もできないような高額賞金が設定されることもあります。
一方、国内大会でそこまで高額の賞金が設定されるeスポーツ大会は少なく、参加対象者を高校生に限定している大会の場合、ほとんど賞金が設定されることはありません。商品があったとしても、トロフィーや大会記念グッズ、ゲーミング用の周辺機器などである事が多いでしょう。
高校生がeスポーツ大会で好成績を残すとどうなる?
高校生がeスポーツ大会に出場し好成績を残すのは、ただの思い出作りではありません。今後eスポーツプレイヤーとして活動したい人の場合、高校生大会への出場経験や入賞・優勝経験は重要な実績となります。
プロeスポーツプレイヤーの多くは、スポンサーのバックアップを受けています。高校生の頃から大会などで好成績を収めている優秀な選手には、スポンサーが付きやすいでしょう。
また、高校生大会で良い成績を残すことでプロeスポーツチームからオファーがくることもあります。
将来的にプロのeスポーツプレイヤーになりたいと考えている人の場合、高校生大会は重要な登竜門のひとつとなるでしょう。
高校生がeスポーツをするなら部活動がいい?それとも個人がいい?
高校生がeスポーツをするにあたって、高校の部活動に入部することは必須条件ではありません。高校の部活動に限定して参加対象を決めている大会は少ないため、個人として活動していても特に大きな支障はないでしょう。
しかし、チームを結成して出場するタイトルの場合、部活動に所属している方がチームを組みやすい傾向にあります。特に高校生を対象としている場合、同じ高校に通う人とチームを結成する必要があるケースが多いです。練習のための環境などが確保されていることも合わせると、部活動として活動している方がメリットが大きいでしょう。
高校生のeスポーツは今後益々盛り上がりをみせる
世界的に人気が高まっているeスポーツですが、国内でも徐々に周知が進み、ついに教育現場でも受け入れられるようになっています。
現在、eスポーツ部のある高校はそう多くありません。しかし、毎年確実にその数を増やしています。今後、ますます高校eスポーツは盛んになるでしょう。
eスポーツはもともと選手の平均年齢が若く、競技を始める年齢も若ければ若いほど良いと考えられています。高校在籍時から将来eスポーツプレイヤーになるための実績を作る事を意識し、部活動や大会への出場などを検討してみてはいかがでしょうか。
AFRAS(アフラス)は、eスポーツを学びたい人のためのゲーミングスクールです。学校で部活動をしていても指導してくれる人がいない事に悩んでいる高校生は少なくありません。AFRASなら、部活動などの予定に合わせつつプロeスポーツプレイヤーによるマンツーマン指導を受けられます。
eスポーツがもっと上手くなりたい人は、ぜひAFRASでゲーミングスキルを磨いてみてください。