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コラム

eスポーツの賞金の仕組みを知りたい!どこからでてるの?税金はかかる?

eスポーツの醍醐味のひとつとして挙げられる高額賞金。世界のプロゲーマーのなかには、賞金を主な収入源として生活している人もいるなど、高額の賞金ははまさにeスポーツドリームと言えます。

しかし、eスポーツ大会などを観戦しているなかで「賞金ってどこから出ているんだろう?」と疑問に思ったこともあるのではないでしょうか。今回は、eスポーツの賞金について気になる疑問を解説します。

eスポーツの賞金がどこから出ているのか?国内外のeスポーツ大会の賞金額、eスポーツの賞金に税金はかかるのか等を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

eスポーツといえば高額賞金が注目されることも

eスポーツはコンピューターゲームを用いて勝敗を競うスポーツです。Electronic Sportsの略称で、PCゲーム、CSゲーム(PlayStation、Xbox、Nintendo Switchなど家庭用ゲーム)、スマホゲームなどを用いて競技を行います。

世界中の競技人口は1億人を越えたとも言われており、日本でも徐々に知名度を上げつつあるのが現状です。

eスポーツ大会では、度々高額の賞金が話題になることもあります。特に、海外の大会では数十億単位の賞金が設定され、プロゲーマ―のなかには賞金を主な収入源としている人もいるでしょう。

世界のeスポーツ大会において賞金の最高金額は、DOTA2の世界大会「The International 2021 Dota2 Championship」と言われており、優勝賞金として約4,000万ドル(当時のレートで約53億円)が優勝チームに贈られています。

eスポーツの賞金はどこからでているの?

eスポーツ大会の賞金が、どこから出ているのか知っているという人はそう多くないでしょう。特に、海外の高額賞金となると「なぜゲーム大会の賞金でこれほどの高額を用意できるの?」と疑問に思う人もいますよね。

eスポーツ大会の賞金は主に以下の3つのパターンで設定されています。

  • ゲーム開発会社が賞金を出す
  • 主催者が賞金を出す
  • スポンサーが賞金を出す

それぞれの賞金について、さらに詳しく解説します。

ゲーム開発会社が賞金を出すケース

ゲーム開発会社のなかには、競技タイトルに自社で開発したゲームを使用してもらう報酬として賞金を出すケースがあります。

eスポーツ大会の競技タイトルとして自社で開発したゲームを使用してもらえれば、多くの観戦者に自社のゲームの魅力を知ってもらえることでしょう。興味を持った人は自社のゲームを購入する可能性も高いです。そのため、賞金を出す以上のメリットを得られるケースもあります。

主催者が賞金を出すケース

eスポーツ大会の主催者が賞金を出すケースがあります。賞金を出すことで参加者が増えたり、話題になったりするメリットもあるでしょう。また、高額賞金を設定することで有名なeスポーツ選手が出場してくれる可能性などもあります。

主催者はeスポーツ大会のイベント収益を見込んで賞金を出すケースが多く、観戦チケット料、放送権料、グッズ販売などの予想収益から賞金を設定します。

スポンサーが賞金を出すケース

大規模な大会や広告を出すことでメリットが得られそうな大会の場合、スポンサー(出資者)がつくことがあります。場合によっては、スポンサーが賞金を出すケースもあるでしょう。

主催者が賞金を出すケースと同じく、参加者の増加や話題性を作ることで、広告として出している自社製品やサービスを多くの人に知ってもらうことができます。その他、副賞として自社製品を提供することで、視聴者により強く自社製品の印象をつけることもできるでしょう。

GoogleやYouTube、コカ・コーラ、NTTドコモ、株式会社KADOKAWAなど、さまざまな大手企業がeスポーツ大会のスポンサーとして参入しています。

DOTA2世界大会ではユニークな賞金設定も話題に

世界で最も高額な賞金が設定されたeスポーツ大会として有名なDOTA2の世界大会「The International」では、イベント収益を賞金に上乗せするユニークな設定が話題になりました。

The Internationalでは、大会チケットの売上も賞金に上乗せします。さらに、チケットを購入することでゲームの限定アイテムを入手できる特典をつけたことで、大会の観戦者だけでなくeスポーツに興味のない一般ユーザーもチケットを買い求めました。

結果として大会賞金は莫大な額になり、現在も「世界で最も高額な賞金がでるeスポーツ大会」として知られています。

国内外のeスポーツ大会の賞金額

eスポーツの賞金がどのように出されているのか分かってきたところで、実際に行われたeスポーツ大会の賞金額についてみていきましょう。

日本国内のeスポーツ大会で実際に設定された高額賞金

日本国内で開催されたeスポーツ大会で最も高額な賞金が設定されたのは、2022年に開催された「PUBG MOBAILE JAPAN LEAGUE SEASON2」です。賞金総額は3億円、優勝チームには5,500万円が贈られました。国内では最大規模の大会として、未だ記録は塗り替えられていません。

2024年大会は賞金総額1,000万円と縮小しているものの、賞金と世界大会出場権を争いBLUE BEESがリーグ優勝を果たしました。

その他、2021年に開催されたShadow verseの大会「Shadow verse World Grand Prix 2021」では、賞金総額2億8,000万円が設定されたことも記録に残っています。優勝したKakip選手には賞金1億5,000万円が贈られました。

海外のeスポーツ大会で実際に設定された高額賞金

海外のeスポーツ大会ではさらに高額な賞金が設定されることも珍しくありません。世界最高峰と言われるDOTA2の「The International」における最高賞金額約4,000万ドルを除いても、日本では考えられないような高額の賞金が設定されたeスポーツ大会が数多く開催されています。

人気ゲームFORTNITEのeスポーツ大会「Fortnite World Cup」では300万ドルの優勝賞金が出され、2019年大会では優勝したカイル・ブガ・ギアスドルフ選手が16歳ということでも大きな話題となりました。16歳にして300万ドルを獲得するのは夢がありますよね。

どうして日本のeスポーツ大会と世界のeスポーツ大会では賞金額に差がでるの?

国内で開催されている高額賞金設定も充分に魅力的な額ですが、世界のeスポーツ大会に比較するとどうしても差を感じてしまいますよね。

そもそも、国内大会では億単位の高額賞金がeスポーツ大会に設定されるのは非常に珍しく、中~小規模の大会や未成年向けの大会の場合、賞金を設定していないことの方が多いです。

eスポーツに対する関心度やイベントとしての興行収益の差なども要因に挙げられますが、そもそも日本ではeスポーツ大会に高額賞金を出しにくい傾向にあります。そこで関係してくるのが景表法や賭博法をはじめとしたさまざまな法律です。

続いては、日本のeスポーツ大会と切り離せない法律についても分かりやすく解説していきます。

景表法とは

景表法とは正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」と言います。消費者に誤解や誇大解釈を招くような広告や景品の提供を規制する法律です。

景品を設定する際、顧客誘引性(客を呼び寄せる目的)や取引付随性(商品の購入などの目的)があると景表法に抵触する可能性があります。

eスポーツ大会においては、高額賞金を求めて参加費用を支払い大会に参加することは顧客誘引性に当たる可能性があり、大会に出場するために競技タイトルのゲームや課金アイテムの購入などを行うことは取引付随性に当てはまる可能性があります。

顧客誘引性や取引付随性に抵触しないためには、景品の金額を5000円未満の取引に関して取引価格の20倍まで、5000円以上の取引に関しては10万円までに抑える必要があります。

つまり、景表法に則ってeスポーツ大会の賞金を設定した場合、10万円以上の賞金は設定できないことになります。

景表法とJeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)の関係

景表法について知ると、国内で開催されている高額賞金のeスポーツ大会は法律に違反しているのか?と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

日本のeスポーツ業界は、eスポーツのプロライセンスを発行することで景表法に関する問題を解決しています。eスポーツのプロライセンスは世界でも類を見ない試みであり、景表法による規制がある日本だからこそ、作られたシステムとも言えるでしょう。

景表法は、あくまで「景品」に当てられる法律です。つまり、賞金が「景品類」に当てはまらないのであれば、高額賞金を設定することもできます。

一般社団法人日本eスポーツ連合はプロライセンスを発行することで、ゲーマーのスキルを保証します。さらに、ライセンス取得者のみに賞金を提供することで、賞金を「景品類」ではなく「仕事の報酬等と認められる金品の提供」として認めさせることに成功しました。

つまり、観客はプロ野球やプロサッカーの試合を観戦するように、プロeスポーツプレイヤーのプレイを観戦するためにチケット代などを正当な対価として支払っているため、高額賞金は景品類に当てはまらず、規制を受けることなく賞金が設定できるという理屈です。

賭博法とは

eスポーツ大会における賞金を設定するうえで、景表法だけでなく賭博法についても抵触してしまうことのないよう注意が必要です。

賭博法とは、刑法で賭博を禁止する法律です。eスポーツ大会が賭博にあたってしまった場合、刑罰が科されることもあります。

ゲームの場合、勝敗が実力だけでつかず、ステージの選定や初期スタート位置、取得できるアイテムなど、運による勝利要素も大きいことから賭博法へ抵触してしまう可能性があります。また、参加費を徴収することも賭博法に抵触してしまうこと場合があるでしょう。

eスポーツ大会における賭博法への対策

eスポーツ大会を開催する際に、以下の条件であれば賭博には当たらないとされています。

  • 参加費を徴収していない場合
  • 主催者以外から賞金が提供されている場合(参加者もしくはスポンサーなどの第三者による賞金提供はOK)
  • 主催者が賞金提供している場合、参加者から徴収した参加費を賞金に充当していない場合

つまり、賞金を目当てに参加費を払ってeスポーツ大会に参加してしてしまうと賭博にあたってしまう可能性が高いということです。

eスポーツ大会の賞金に税金はかかるの?

eスポーツ大会の賞金についてさまざまな疑問を解説してきましたが、最後に「もし自分がeスポーツ大会で賞金を獲得したら」という状況についても紹介していきましょう。

自分がeスポーツ大会で賞金を獲得した場合、獲得賞金に税金はかかるのでしょうか?

答えは「eスポーツ大会の賞金にも税金がかかる」です。

eスポーツ大会で獲得した賞金は雑所得の扱いになるため、確定申告を行い税務署に申告する必要があります。確定申告後、税務処理され税金徴収額などが決定する仕組みです。

特に、未成年など親の扶養に入っている人がeスポーツ大会で賞金を獲得した際には、親の扶養範囲を超えてしまい、扶養控除などが利用できなくなるケースもあるため注意が必要です。

eスポーツ大会の賞金がどこからでているのか知ろう

今回はeスポーツの醍醐味とも言える賞金について解説してきました。eスポーツ大会の賞金は、ゲーム開発会社、主催者、スポンサーなどが出していますが、法律に抵触しないように設定するためにはさまざまな工夫が必要です。

特に国内では、参加条件としてプロライセンスが必要な大会以外は高額賞金を設定しにくいなどの問題もあります。これらの問題からプロライセンスの取得を目指すプレイヤーも多くいますが、プロライセンスの取得にはJeSUの認定タイトルで実力を認められるだけのスキルが必要です。

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