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コラム

eスポーツの定義とは?スポーツとの違い・文部科学省の見解を解説

eスポーツ全般

近年、ゲームを競技として楽しむ「eスポーツ」は急速に広まり、テレビやネットニュースでも目にする機会が増えています。しかし、名前に「スポーツ」と付いているものの、従来の運動競技と何が同じで何が異なるのか、はっきり説明できる人は多くありません。

さらに、文部科学省や行政機関がどのような立場を示しているのか、教育現場での扱いはどうなっているのかなど、社会的な位置づけをめぐる議論も活発です。

本記事では、eスポーツの定義やスポーツとの違い、文部科学省の見解を整理し、現状と課題をわかりやすく解説します。これを機にeスポーツをより深く理解し、最新の動向を把握に役立ててください。

「eスポーツ」の定義とは?

「eスポーツ」の定義とは?

eスポーツの定義について解説していきます。

  • 「e=electronic」の意味とスポーツの概念
  • 世界的な定義と日本国内の一般的な定義の違い
  • 「スポーツ」としての要素

eスポーツに興味がある人は、この機会にぜひ覚えておきましょう。

「e=electronic」の意味とスポーツの概念

「eスポーツ」の“e”は電子を意味する「electronic」に由来しています。これはコンピューターやネットワークを介して行われる対戦や競技全般を示す言葉です。

従来のスポーツが肉体的な運動能力を前提にするのに対し、eスポーツでは反射神経や戦略性、協調性などが重視されます。物理的な場ではなくデジタル空間を舞台に、競技性や勝敗の明確さといったスポーツ的性質を備えている点が特徴です。

世界的な定義と日本国内の一般的な定義の違い

海外ではeスポーツを「電子的手段を介した競技」と幅広く捉える傾向があります。欧米やアジア諸国では法整備やプロリーグ制度も進んでいます。

一方、日本ではゲーム=娯楽という認識が根強く、スポーツとしての社会的地位が十分に確立していません。日本eスポーツ連合などがプロライセンス制度を導入しつつありますが、国際的な基準とのギャップはまだ大きいのが現状です。

ただし、最近では日本においてもメディアで取り上げられる機会も増え、注目度も高まっています。オリンピック種目にも検討されていることから今後大きく発展することが予想されます。

「スポーツ」としての要素(競技性・ルール・観戦性など)

eスポーツが「スポーツ」と呼ばれる理由には、競技性やルール、観戦性といった要素があります。例えば、明確なルールに基づいて勝敗が決まり、多人数が同時に参加したり観戦したりできる点は従来のスポーツと共通しています。

また、プロ選手の存在や大会運営、ファンコミュニティの発達など、スポーツ産業に似た構造も形成されています。こうした特徴によって、eスポーツが単なるゲームではない社会的現象として地位を高めているのです。

eスポーツと「スポーツ」の関係

eスポーツと「スポーツ」の関係

電子機器やネットワークを介して行うeスポーツと、従来の肉体で行うスポーツにはどのような関係があるのでしょうか。ここでは、それぞれの共通点や相違点、国際機関での位置づけなどを解説していきます。

  • 身体活動を伴う従来のスポーツとの共通点・相違点
  • IOCなど国際的機関での位置づけ
  • 「スポーツ」という言葉の広義化・時代変化

eスポーツは単なるゲームではなく「スポーツ」にも大きく関係していることを確認していきましょう。

身体活動を伴う従来のスポーツとの共通点・相違点

従来のスポーツは筋力や持久力など身体的能力を前提にしていますが、eスポーツはデジタル空間での競技となることから「本当にスポーツなのか」という議論が続いてきました。

実際、体力よりも瞬時の判断力や戦略性が重視されます。しかし、eスポーツでは反射神経や戦術理解、チームワークといった能力が勝敗を左右し、ルールに基づき公平な競争が行われ、観客が楽しめる点では共通しています。

これらから、競技性や観戦性というスポーツの本質的な価値は共有しながら、身体活動の性質が異なるといえるでしょう。

IOCなど国際的機関での位置づけ

国際オリンピック委員会(IOC)は近年、eスポーツに対する検討を本格化させています。オリンピックeスポーツシリーズの開催など、従来の競技会とは異なる形で取り入れる動きが進んでいます。

日本国内でも日本eスポーツ連合(JeSU)がプロライセンス制度を整備し、国際標準に近づけようとしています。こうした流れは、eスポーツが世界的に一つの「競技」として認知される基盤を築いているといえるでしょう。

参考

国際オリンピック委員会(IOC)によるオリンピックeスポーツゲームズ創設について

「スポーツ」という言葉の広義化・時代変化

「スポーツ」という言葉は、もともと身体活動を伴う遊びや競技を指していました。しかし現在では、知的競技やマインドスポーツなど、多様な活動を含む広い概念へと変化しています。

テクノロジーの進歩により競技の舞台はデジタル空間へ広がり、価値観やライフスタイルの変化と相まって、新しい「スポーツ像」が社会に受け入れられつつあります。eスポーツもその延長線上に位置しているといえるでしょう。

学術的視点から見るeスポーツ

学術的視点から見るeスポーツ

eスポーツの発展を理解するには、研究・学術の立場からの分析が不可欠です。ここでは、学術的視点から見るeスポーツについて解説していきます。

  • 国内外の論文・研究で使われる定義や分類の例
  • 論文で議論されている「スポーツ性」「文化性」「教育的価値」
  • 研究者が指摘する課題(健康・年齢・公平性など)

学術研究でどのようにeスポーツが扱われてきたかを整理するのに役立ててください。

国内外の論文・研究で使われる定義や分類の例

多くの研究論文では、eスポーツを「電子機器を用いた対戦型ゲーム競技」と定義するものが多く見られます。

例えば日本の調査研究では、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える名称として用いられていると明記されています。ジャンル別にも分類され、MOBA、FPS、格闘ゲーム、スポーツゲーム、カードゲームなど多様化が進んでいます。

また、自治体や教育現場での定義では、娯楽性よりも競技性や学習効果を重視する傾向が強く、単なる「対戦型ゲーム」以上の意味付けがなされていることも特徴的です。

参考

eスポーツ定義 2章「概論」

論文で議論されている「スポーツ性」「文化性」「教育的価値」

スポーツ性については、勝敗やルールの明確さ、プレイヤーの競技力向上や技術的スキルが問われる点がしばしば挙げられます。eスポーツ研究では、これらの要素をもって伝統的スポーツと同等の競技性を持つとする見解が多いです。

文化性の側面では、ゲームタイトルごとのファンダム・観戦文化・大会イベントなどが地域や社会で浸透する過程が注目されます。

教育的価値としては、判断力・協調性・思考力などを鍛える教材的役割が論じられており、日本eスポーツ連合の報告書でも義務教育・高等教育の現場で導入例が増していると記述されています。

参考

日本のeスポーツの発展に向けて

研究者が指摘する課題(健康・年齢・公平性など)

健康面では長時間の画面注視による視力低下、姿勢の悪さによる身体的負荷、睡眠障害などが懸念されています。研究論文では、これらを防ぐための休憩頻度や活動時間の管理が必要という意見が多く出ています。

年齢については若年層の参入が多い反面、高齢者や未経験者へのアクセシビリティが低い問題もあります。操作の難易度や専門知識の差が障壁となるケースが指摘されました。しかし、最近では60歳以上のプレイヤーで構成された「MATAGI SNIPERS(マタギスナイパーズ)」のようなシニアプロゲーミングチームも登場しています。

公平性の観点では、障害のあるプレイヤーや地域格差、機器環境の違いによる不利などが言及されています。研究者はこれらを是正するための制度設計や機材補助、環境標準化を提案しているようです。実際、スポーツの競技によっては体重差による階級分けや、ハンディキャップによって大会を分けるなど環境が整備されています。

eスポーツ文化が発展していけば、これらの課題も解決できるでしょう。

文部科学省や行政機関の見解

文部科学省や行政機関の見解

eスポーツが社会的に受け入れられていく中で、文部科学省をはじめとする行政機関の立場は非常に重要です。ここでは、それぞれの見解について解説します。

  • 文科省が示すスポーツ・競技の定義との比較
  • 学校教育・部活動・大会開催などでの取り扱い
  • 公的支援・政策としての動きと課題

法律や政策、教育制度の中でどのようにeスポーツが扱われてきたのかを確認しておくと、今後の制度整備や環境づくりの方向性も見えてくるでしょう。

文科省が示すスポーツ・競技の定義との比較

日本のスポーツ基本法やスポーツ振興基本計画では「スポーツ」は、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得などのために、運動競技その他の身体活動を含むものと定義されています。

eスポーツはこの定義と比べると、身体活動の要素が薄く、運動競技ではない部分もあるため、従来の「身体を動かすこと」が中心のスポーツ概念とは異なる扱いとなりやすいです。文科省が公表する「eスポーツについて」という資料では、広義には娯楽・競技・スポーツ全般を指す言葉とされ、スポーツ競技として捉える際の名称であると説明されている点が特徴的です。

参考

スポーツ基本法におけるスポーツの定義、スポーツの価値

eスポーツについて

学校教育・部活動・大会開催などでの取り扱い

国内では、学校教育や部活動にeスポーツを採り入れる動きが徐々に拡大中です。例えば部活動としてeスポーツ部を設置する高校が増え、生徒の放課後活動として認められる事例も報告されています。

また大会については、国民体育大会の文化プログラムとしてeスポーツ大会が実施されたケースがあり、都道府県対抗形式で大会を設けることで地域間の交流も促されています。このような取り組みは、教育現場や地域社会における認知の一歩といえるでしょう。

公的支援・政策としての動きと課題

政策面では、政府がeスポーツを成長分野と位置づけ、環境整備やルール整備を進めようとしている部分があることが確認されます。

文科省「eスポーツについて」の資料には、将来の市場規模予測も含まれており、クールジャパン戦略の一部としてeスポーツが言及されてきました。

ただし、公的支援の対象や制度の透明性に不備を感じる声も多いです。例えば、健康被害や依存のリスク、学業との両立、機材格差などが制度や指導体制で十分に議論されていないとの指摘があります。政策としては、これら課題を抱えたまま義務教育での導入や支援拡充を図るかどうかという岐路にあるようです。

プロeスポーツの定義と現状

プロeスポーツの定義と現状

eスポーツが普及してくるにつれて「プロ」と呼ばれる立場の存在が重要になりました。ここでは、プロeスポーツの定義と現状について解説します。

  • 日本eスポーツ連合(JeSU)の「プロライセンス」制度
  • プロ選手としての基準(契約・収入・活動)
  • 世界的なプロシーンとの違い・市場規模

プロ選手とは、単なる趣味やアマチュア競技者を超えて、競技活動を生業のひとつとする者を指すことが多いです。しかし、国や団体によってその基準は大きく異なり、国内外で扱われ方も分かれています。eスポーツのプロ選手に興味がある人はぜひ参考にしてください。

日本eスポーツ連合(JeSU)の「プロライセンス」制度

JeSU(日本eスポーツ連合)は、国内のeスポーツ競技者を一定の基準で認定する「公認ライセンス制度」を運営しており、その中に「ジャパン・eスポーツ・プロライセンス」があります。

このライセンスを持つことで、JeSU公認大会で正式な賞金を受け取る資格が得られるほか、プロとしての信頼性・肩書きを担保する手段にもなります。発行対象は15歳以上で義務教育課程を修了している者とされ、ライセンス未保有者には賞金の上限を設ける大会規約も存在する事例があります。

参考

公認ライセンスとは

プロ選手としての基準(契約・収入・活動)

プロeスポーツ選手として認められるには、単に実力があるだけでなく、契約関係・継続的活動・報酬の所在など複合的な条件が問われます。多くの場合、プロ契約を結び、チームやスポンサーと収益分配や活動支援を伴う関係を形成することが求められます。

加えて、大会参加・練習・配信活動といった日常的な活動が業務と見なされうる状態でなければなりません。国や団体によっては、賞金額やスポンサー収入の割合、活動費の補填、機材提供などの実態も基準として含めるケースがあります。こうした要素が揃うことによって「プロとして活動している」と評価されるようになるのです。

世界的なプロシーンとの違い・市場規模

世界のeスポーツ市場は急速に成長を続けており、2024年時点で約21億米ドル規模、2033年には約101~126億米ドル規模に拡大するとの見立てもあります。このような規模の拡大を背景に、北米・韓国・中国・ヨーロッパなどでは、プロリーグやチームが強固な支援体制を備え、選手報酬制度やスポンサー契約、メディア収益モデルが成熟化しつつあります。

日本では市場規模・支援制度ともに依然小規模であり、JeSUのプロライセンス制度導入も発展途上段階です。国内市場は2023年で約146.85億円と報告されており、2025年には200億円に迫る勢いとの予測もあります。

参考

エスポーツの市場規模

グローバルeSports市場レポート(2024年)

eスポーツ産業の市場規模や今後の予測 市場動向を分析

eスポーツの定義をめぐる今後の展望

eスポーツの定義をめぐる今後の展望

eスポーツはここ十数年で急速に成長し、世界各地で大会や教育プログラムが整備されるまでになりました。eスポーツの定義をめぐる今後の展望について解説します。

  • テクノロジーの進化による競技の拡大
  • スポーツ概念のさらなる拡張
  • 学術・行政・産業の連携による統一的定義の可能性

定義や位置づけは国・地域・学術分野でばらつきが残っており、統一的な見解が確立したとは言い難い状況です。今後はテクノロジーの進化や社会の価値観変化を踏まえ、スポーツ概念自体が広がる可能性があります。

テクノロジーの進化による競技の拡大

通信環境やデバイス性能が向上し、クラウドゲーミングやVR/AR、5G・6Gといった技術が普及することで、eスポーツの競技種目はさらに多様化していくと考えられます。従来はPCやコンソール中心だった競技も、今後はモバイルやウェアラブル機器、没入型空間で行われる新しい形態に発展し、身体的要素やインタラクションの幅が広がるでしょう。

これにより、プレイヤーや観戦者の体験はよりリアルタイム性・臨場感・社会性を高め、これまでスポーツと見なされなかったジャンルが新しい競技領域に組み込まれる可能性が生まれます。eスポーツに挑戦する人は、テクノロジーの進化にもアンテナを張り、流行に後れないようスキルを磨いていきましょう。

スポーツ概念のさらなる拡張

「スポーツ」の定義は時代とともに変化してきました。狩猟や武術がスポーツに組み込まれた歴史を持つように、現代では知的・電子的な競技活動も含める方向へ拡張しつつあります。

eスポーツのように身体活動が限定的な競技であっても、勝敗の明確性、技術・戦略の習熟、ルールの公平性、観戦可能性といった要素を備えることでスポーツ的価値が認められる土壌が形成されつつあるのです。こうした流れは、社会がスポーツを単なる身体運動ではなく文化的・教育的な活動全般として再定義していく動きを後押しするでしょう。

学術・行政・産業の連携による統一的定義の可能性

eスポーツの定義を明確化するには、学術界の研究成果、行政の法的整備、産業界の現場感覚が連携して共通基準をつくることが欠かせません。大学・研究機関は概念の整理や教育効果の検証を進め、行政はスポーツ基本法や支援制度の中に位置づけを検討し、産業界は競技・大会の運営基準や倫理規範を確立していく必要があります。

これらが相互に連動することで、国際的にも通用する統一的定義や認証システムが整う可能性が高まり、選手・観客・事業者すべてにとって透明で信頼性の高い環境が形成される未来が期待されています。

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本記事では、eスポーツの定義やスポーツとの違い、文部科学省の見解まで幅広く整理し、社会的な位置づけや現状の課題をわかりやすく解説しました。国内外で市場が拡大するなか、プロ選手や大会制度などの知識を押さえることは、eスポーツ業界への理解や関心を深める第一歩になります。

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