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コラム

eスポーツの経済効果とは?日本や海外の市場規模なども分かりやすく解説

eスポーツ全般

世界中で着々と浸透しているeスポーツは、興行としての役割も大きく、もたらす経済効果は計り知れないとも言われています。

莫大な経済効果を創出すると言われるeスポーツですが、その効果はゲーム業界だけに留まるものではありません。一見、eスポーツとは無関係のように思われる分野にまで影響を及ぼすことから、各業界から大きな注目を集めています。

この記事では、eスポーツの経済効果について詳しく解説します。合わせて、日本や世界におけるeスポーツ市場についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

日本のeスポーツ産業による経済効果とは

世界中で競技人口が1億人を越えたとも言われているeスポーツ。日本のeスポーツ競技人口は推定400万人と言われており、その数は今も増加傾向にあります。

競技人口の増加と共に市場規模も拡大し、今やeスポーツは日本の経済に大きな影響を与える存在になっています。

経済効果とは、1つの事柄に対して新たな需要が発生し、需要を満たすために連鎖的に発生する生産による利益を得ることです。つまり、eスポーツという興行に対して、大会を開催することで観戦チケットが販売されることや競技タイトルのゲームソフト売上が上がることなども経済効果に含まれるでしょう。

本来、経済効果は連鎖的に発生した利益を試算して算出しますが。eスポーツの与える影響はあまりに幅広く経済効果額の算出が困難です。そこで今回は、eスポーツがどのような産業に影響を与えているのかを中心に解説していきます。

参考:日本におけるeスポーツの発展のために

eスポーツによる経済効果の影響を受ける産業

eスポーツが与える経済効果は、一般人からすると想像もつかないような分野にまで波及します。続いては、eスポーツによる経済効果の影響を受ける産業について解説します。

広告業

eスポーツの興行売上の約4~6割はスポンサー広告料という調査結果があります。スポンサーとは、後援者を意味する言葉です。eスポーツを資金面で支援し、支援したeスポーツプレイヤーやeスポーツチームが活躍すると、メディアなどの露出が増えます。

ユニフォームに自社のロゴなどをプリントすることで知名度が上昇したり、スポンサーとして支持しているeスポーツプレイヤーやeスポーツチームが躍進したりすることで株価に影響を与えることもあるでしょう。

eスポーツプレイヤーやeスポーツチームだけでなく、開催されるeスポーツ大会そのもののスポンサーとして広告を出すケースもあります。eスポーツの主な出場者や観戦者は10~20代のZ世代です。eスポーツ大会で大規模な広告を出すことで、Z世代にストレートに企業や商品をアピールすることができます。

また、eスポーツの特徴として拡散性が高いという点もスポンサー企業から注目を集めています。eスポーツ大会の様子をSNSなどで拡散することで、映り込んだスポンサー企業や商品も会場に足を運んでいない人にまで知って貰えるでしょう。スポンサー広告として、非常に高い宣伝効果が期待できます。

こういった背景から、世界的にもeスポーツのスポンサー広告は業界から注目されており、コカ・コーラ社やNTTドコモなど大手企業も揃ってeスポーツのスポンサー事業に参入しています。

ゲーム産業

eスポーツによってゲーム産業が盛り上がることは言うまでもありません。eスポーツにとってゲームソフトやゲームハードは、野球におけるバットやグローブのように欠かせないものです。

ただし、ゲーム産業においては一般の人が思っているよりも莫大な影響を受けていないのが現状と言えるでしょう。eスポーツにおいては「eスポーツ競技に選ばれたから、ゲームタイトルの売上が伸びる」というよりも「元々売上が高く、eスポーツ要素を持ち得ているから競技タイトルに選ばれる」という状況が成立しているからです。

もちろん、eスポーツを観戦し競技タイトルのゲームに興味を持つ人もいるでしょう。しかし、そういった観戦者の割合は高くありません。eスポーツ大会は競技タイトルによって部門が分かれているため、基本的に自分の好む部門などを観戦・視聴する人が多いです。つまり、元々そのゲームを持っていたりプレイしたりしたことがある人が、興味のある部門を観戦すると言えます。

こういった側面から、eスポーツと最も関係深いゲーム産業は直接的には大きく影響を受けていないと言えるでしょう。

一方で、eスポーツがスポーツとして認められることで、ゲーム産業の今後は大きく変化することが予想されます。ゲームが誕生して以降、娯楽の域を抜けることができず、時にはネガティブなイメージを持たれることもありました。社会がゲームに対してネガティブなイメージを持ってしまうと、当然ゲーム産業は衰退してしまいます。

しかし、eスポーツによってゲームにクリーンで健康的なイメージが定着すれば、今後のゲーム産業は安泰となり、末永くコンテンツを作り出していくことができるでしょう。

eスポーツの周辺機器産業

eスポーツが盛り上がりを見せる事で、ゲーミングデバイスの生産業にも大きな影響を見せています。特に、高いスペックが求められるゲーミングデバイスは単価も高く、売上向上に直接的に影響を与えているでしょう。

eスポーツが盛り上がることでゲーミングスクールが開業されたり、学校の部活動としてeスポーツ部が設立されたりしています。こういったシーンでもゲーミングデバイスは必要とされるため、周辺機器産業は高い経済効果の恩恵を受けているのが現状です。

また、eスポーツに必要なのはデジタルな周辺機器のみではありません。長時間eスポーツをプレイするためにはゲーミングチェアやゲーミングデバイスを設置するのに適したデスクなども必要です。

周辺機器とひとことでいっても、電子機器から家具まで幅広い産業がeスポーツの影響を受けます。

教育産業

eスポーツは、教育分野においても注目を集めているスポーツです。プレイすることによって非認知能力の向上効果が期待できることや、身体能力・性差などによる優劣がつきにくいこと、さらに子供達の好む「遊び」がそのまま「スポーツ」として成り立つことで、ポジティブに取り組めることなど、eスポーツは教育分野に求められるさまざまな要素を持ち合わせています。

実際に、中学校や高校などでeスポーツが部活動として認められるケースや小学校の授業でeスポーツを扱う取り組みなども始まっています。

教育分野におけるeスポーツの参入によって、学生を対象としたゲーミングスクールなどは今後ますます増加していくことでしょう。

その他、教育用に特化したeスポーツタイトルの開発なども進む可能性が高いです。実際に、人気タイトルである「桃太郎電鉄」では教育版が開発されています。桃太郎電鉄やマインクラフトなど、教育機関で扱われるタイトルを「eスポーツ」に含めるのかは別として、eスポーツの認知が広がることで、ゲームが他分野で取り入れやすい風潮を作り上げていることは間違いありません。

社会福祉産業

eスポーツは、ゲームというツールを用いることから若者だけのスポーツと思われがちです。実際は、身体能力、年齢、性差に影響を受け難く公平に競うことができる競技であるため、体の不自由な人や年配の方でも楽しめる競技といえます。

eスポーツの特性を活かし、高齢者施設や障害者施設に導入する動きも始まっています。

eスポーツの代表的な団体である、一般社団法人日本eスポーツ協会も自治体へ向けて高齢者や障害者支援を目的としたeスポーツ導入セミナーなどを開催するなど、業界を挙げて推進している状況です。

eスポーツのハンディキャップレスな競技性質は、社会福祉における問題を解決できる可能性がある考えられるでしょう。社会福祉産業においてeスポーツが導入されることで、新たな需要が生まれさらに経済効果は増加していきます。

eスポーツの市場規模

eスポーツの経済効果はさまざまな産業に波紋を広げ、国全体に大きな影響を与えています。これらの経済効果は、eスポーツ自体の市場規模が広がれば広がる程、さらに大きくなっていくことでしょう。

続いてはeスポーツ自体の市場規模についても国内・国外ともに解説します。

日本のeスポーツ市場

日本のeスポーツ市場はコロナ禍でも規模を拡大し続けた数少ない業界だと言われています。むしろ、コロナ禍による巣ごもり需要により、急速にeスポーツ業界が盛り上がったとも言えるでしょう。

2018年には約44億円であったeスポーツ市場は、2022年には100億円規模に成長しています。2025年には200億を超えると予想されており、その勢いは留まる様子が見えません。

2019年以降、年平均20%以上の割合で市場が拡大しており、ここまで急速に成長する市場は珍しいと言えるでしょう。

参考:一般社団法人日本eスポーツ協会

世界のeスポーツ市場

世界的に見るとeスポーツ市場は巨大な市場として形成されており、2019年時点で1,056億円規模の市場であると推算されています。2024年には1,700億円規模に到達し、近く2,000億円を超えることも予想されるでしょう。

これは、eスポーツ自体が娯楽であるゲームから発展したスポーツであるため、主に富裕国や先進国で盛り上がりを見せていることが要因のひとつとして挙げられます。これまでは参入の難しかった発展途上国からも徐々に競技人口が増えており、今後益々市場は拡大していくことでしょう。

eスポーツの経済効果は今後もますます拡大していく

今回はeスポーツが与える経済効果について解説してきました。eスポーツはさまざまな分野に影響を与える、「可能性のスポーツ」とも言えます。

そのため、今はまだ顕在化していない産業においても、今後経済効果が波及していく可能性は大きいでしょう。eスポーツ市場自体も拡大傾向がみられるため、より大きな影響を与えるスポーツとして今後定着していくことが見込まれます。

eスポーツが盛り上がることで、日本経済がより良い方向にすすむ可能性もあるでしょう。eスポーツ業界には、これからも若手選手の育成や国際大会で良い成績を残すことなど、eスポーツの発展への尽力が期待されます。

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