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コラム

日本eスポーツの市場規模を解説!今後の動向や世界のeスポーツ市場についても紹介

eスポーツ全般

2000年以降ゲームをスポーツに昇華させた新競技として注目を集めているeスポーツ。その人気は留まる事を知らず、世界中でブームになっています。

人気が上昇するのと同時にeスポーツは一大市場となり、各分野で大きな影響を与えています。

この記事では、日本のeスポーツ市場を中心に、具体的な数値や市場規模、市場が拡大している理由などを分かりやすく解説します。合わせて世界のeスポーツ市場規模についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

日本におけるeスポーツの市場規模推移

2000年に韓国から発祥したと言われるeスポーツは、コンピューターを用いた新しいスポーツ競技です。

eスポーツという名前が浸透する前から、コンピューターゲーム機の発展と共に各国でゲームの大会が行われていました。「ゲームは遊びだ」と言われ続けてきましたが、研鑽されたスキルと知略、戦略を駆使して競う姿勢がスポーツに値するとされ、eスポーツとして世界中に発信されることとなります。

日本で本格的にeスポーツが広まり始めたのは2018年以降と言えるでしょう。コロナ禍に入ると共にeスポーツ市場は急速に拡大し、認知を広げていきました。

コロナ禍の終息後となる2022年以降はオンライン大会だけでなく、オフラインでの大会も各地で開催され市場が急成長します。

2022年にはeスポーツ市場は125億円を突破、2024年には194億円を突破する見込みです。さらに、2025年は200億を突破するとの予測もされており、日本eスポーツ市場は今後ますます拡大していくと言われています。

eスポーツ市場の内訳

eスポーツ市場ではさまざまな産業が携わっています。

  • スポンサー
  • チケット販売
  • ゲームのアイテム課金
  • 著作権許諾
  • イベント運営
  • ストリーミング収益
  • 放映権

なかでも、市場の約6割を占めるのはスポンサー料です。2021年時点では、eスポーツスポンサー契約数は2,254件と言われており、大手企業などもこぞってスポンサーに名乗りを上げています。

有名企業であれば、日清食品ホールディングス株式会社や株式会社ローソンなどもeスポーツスポンサーとして出資しており、一流企業がスポンサー契約を行っていることからも市場への期待値が読み取れることでしょう。

eスポーツ市場がスポンサー企業から注目される理由

eスポーツ市場の半分以上を占めるスポンサー契約料ですが、これほどまでにスポンサー企業がeスポーツ市場に注目するのには理由があります。

経済産業省に成長産業として支持されている

eスポーツは、経済産業省が成長産業であるとして市場拡大を推進している分野でもあります。特に、投資環境の整備に力を入れており、スポンサーを後押しするための市場調査などを行い、Z世代への購買行動の変化を訴えるアプローチにeスポーツ分野が有効であるという内容も発表しています。

Z世代にアピールできる

Z世代とは、1990年代半ばから2010年頃生まれの世代を指し、デジタルネイティブの世代とも言われています。

Z世代が主な集客層であるeスポーツのスポンサーとなることで、狙った層に適確に商品やサービスをアピールできる点がスポンサー企業の受ける最大のメリットです。

拡散力が高い

eスポーツはデジタルスポーツとも言えます。SNSなどとの相性も良く、強い拡散力を持っています。eスポーツのスポンサーとして、商品やサービスを提供することで、SNSによって費用以上の拡散効果を得られる可能性が大きいのも、eスポーツ市場の特性です。

Z世代を対象としたある調査では、eスポーツのスポンサーとして見た・知った商品を購入し、尚且つ他人に薦めたことがあるかという質問に対しZ世代の55.6%が薦めたことがあると回答しています。

商品の購入だけでなく、さらに他者への拡散までされるのは、SNSなどとの相性が良いeスポーツならではとも言えるでしょう。

参照:令和3年度コンテンツ海外展開促進事業(Z世代におけるeスポーツおよびゲーム空間における広告価値の検証事業)

コラボしやすい

eスポーツは種目ごとにさまざまなタイトルが用いられます。スポーツやカーレース、シューティングゲーム、パズルゲームなど、その種類は多岐に渡ります。

例えば、自動車メーカーがカーレースタイトルのeスポーツ大会にスポンサーとして出資するなど、自社との共通項を見つけやすいこともスポンサー企業から注目される理由と言えるでしょう。

eスポーツ市場の抱えるリスク

どのような市場にも必ず外的リスク・内的リスクが存在します。続いては、eスポーツ市場の抱えるリスクの特徴について紹介していきましょう。

eスポーツ市場の抱える外的リスク

市場形成の外的リスクは大きく分けて3つあります。

  • 社会風潮の変化
  • 災害に関する変化
  • 法規制による変化

なかでも、eスポーツ市場に最も関連深いのは社会風潮の変化と言えるでしょう。日本でゲームが流行し始めた1980年代には、ゲームに対するネガティブなイメージが先行し「ゲームをすると引きこもりになる」「素行が悪くなる」などと言われることもありました。

しかし、1980年代に「ゲームをしたかった子ども達」が大人になり家庭を持ったことで現代では昔に比べてゲームへのネガティブな感情は強くありません。こういった社会風潮の変化によってeスポーツ市場の拡大が後押しされたとも言えるでしょう。

一方で、過激な表現を用いるゲームへの規制を訴える声や年齢制限を厳しくするべきという意見なども近年盛んに議論されています。今後、eスポーツのイメージが悪くなってしまうような事があれば、一気に社会がeスポーツを排除しようと働きかける可能性もないとは言えません。こういった社会のイメージの変化によって市場が大きく傾くことはeスポーツだけに限らず、どのような市場にも起こりうることです。

eスポーツ市場の抱える内的リスク

eスポーツ市場形成の内的リスクには以下のようなものが考えられます。

  • 経営リスク
  • 財務リスク
  • コンプライアンスリスク

特にeスポーツ市場で注意すべきなのがコンプライアンスリスクです。eスポーツプレイヤーの多くはSNSを日常的に扱うデジタルネイティブなZ世代です。スポンサー契約をしている以上、一個人としての発信が企業に大きな影響を与える事を理解しないままSNS上で炎上案件などを発生させてしまうリスクは少なくありません。

オンラインで行うという特性を持つeスポーツだからこそ、ネットリテラシーについて十分な指導や対策を行う事が求められます。

eスポーツ市場の成長にはコロナ禍が関係している?

全世界で経済に大打撃を与えた新型コロナ感染症の拡大。当時は未知のウイルスの感染拡大を防ぐべく、長期間の外出自粛令などが世界各国で発令されました。

コロナ禍によって、さまざま業界が経済的なピンチに陥るなか、eスポーツ市場だけは確実に成長していたのも印象的です。

コロナ禍によって外出できない分、オンラインで非対面コミュニケーションをとれるゲームは他人との交流を求める多くの人々の心の支えとなっていました。ゲームの需要が高まると共に、eスポーツ市場は成長を果たします。

コロナ禍が終息した今、eスポーツ市場は新たなステージに立っていると言えるでしょう。オフライン大会や大規模大会の開催、eスポーツをスポーツとして認めさせるための働きかけなど、他スポーツとのファンの争奪戦が始まっています。

コロナ禍で発展したeスポーツが今後も市場拡大を続けるためには、現実世界でどれだけの潜在ファンの足を動かせるのかにかかっています。

世界のeスポーツ市場動向

日本では右肩上がりに業績を伸ばすeスポーツ市場ですが、世界の動向についても気になるところです。

世界のeスポーツ市場ランキング

2020年時点の世界のeスポーツ市場ランキングは以下のとおりです。

  • 中国 3億8150万ドル
  • 北米 2億5250万ドル
  • ヨーロッパ 2億120万ドル

世界のeスポーツ市場は主にこの3エリアで多くが占められており、ある意味一部の地域で熱狂的に支持を集めているとも言えます。しかし、その人気は着実に世界中に広がっていき、日本をはじめ各国でそれぞれの市場を展開始めているのが現状です。

アメリカのeスポーツ市場

アメリカのStainstaが公開したデータによると、アメリカのeスポーツ市場は毎年約20%の成長率を誇り、2023年には17.2億米ドル(約2494億円)もの市場規模に到達しています。また、同社の発表しているデータによると2030年には市場規模が67.5億米ドル(約9783億円)まで成長するとの予測です。

もともと、アメリカはコンピューターゲーム先進国であり、世界でいち早くeスポーツの原型となるゲーム大会などを開催していた経緯もあり、eスポーツ強豪国です。潜在ファンの数は非常に多く、eスポーツの知名度拡大にあたりファン層の拡大も進んでいます。

eスポーツの年間視聴者数においても、2020年には既に4億3570万人が記録されており。2025年には6億4080万人に達するとの予測も発表されています。

アメリカのeスポーツ市場においても、日本と同じくスポンサーシップ収益は全体の約6割を占めており、国内外問わずeスポーツの広告価値に注目が集まっていることがわかります。

東南アジアのeスポーツ市場

東南アジアは世界中で最もeスポーツ市場が急成長しているエリアです。モバイルゲームの発展によってeスポーツプレイヤーが急増し、世界のeスポーツ市場の約50%以上を東南アジアが占めています。

eスポーツの認知度も高く、ベトナムでは国民の40%がeスポーツを知っているというデータもあります。また、eスポーツのプロリーグなども開催されており、企業も積極的にスポンサー契約など行い盛り上がりを見せているのが現状です。

一方でインドネシアなどではインターネット環境が整っていないことからeスポーツ市場が成長しているものの、パソコンゲームやSwitch、PlayStationなどのハードを必要とするジャンルはあまり広がりを見せていません。

モバイルゲームが主流となっているという事は、今後ハードを必要とするゲームの普及が広がった際にさらなる市場拡大が見込めるとも言えます。他国に比べてモバイルゲームに比率が偏っている分、今後の市場の伸び代も大きいのが東南アジアの最大の特徴です。

ヨーロッパのeスポーツ市場

ヨーロッパはもともとゲーム市場を展開しやすいエリアとして、日本製のゲームも多く流通しています。また、日本と同じくスマートフォン普及率が非常に高い事から、モバイルゲーム分野でも急激に市場が拡大しており、eスポーツの認知度も比例して上昇中です。

ヨーロッパのeスポーツでは、女性の参画が増えてきているのが大きな特徴と言えます。元々、愛好家レベルで言えば女性ゲーマーの多いエリアでしたが、近年ヨーロッパの女性eスポーツチームが活躍を見せるなど、市場のターゲットとしてこれまで注目されていなかった「女性ゲーマー」というジャンルが見え始めていると言えるでしょう。

また、ヨーロッパには、eスポーツを発祥当時から支持し大規模な大会を開催してきた組織が多くあります。同じく、世界に名を轟かせる強豪チームが多いのもヨーロッパです。元々、eスポーツ市場は形成されていたため、成長率で言えば他国に劣りますが、しっかりと根を張った安定感のある市場が形成されています。

これからのeスポーツ市場

現状、国内外ともにスポンサーシップによる収益が大きく占めているeスポーツ市場。今後、どのような形でオフライン開催が行われていくかがポイントとなってくるでしょう。

オフライン開催されるイベントなどの集客率を上げることで、チケット販売やグッズ販売も伸びます。

また、新たな形で大会を配信し、より多くの観客を獲得することができれば放映権などの分野も伸びていくことでしょう。メタバースが発展している現状から、メタバース空間でのeスポーツ大会観戦などの分野にも可能性があると言えます。

現在は認められていませんが、今後eスポーツがオリンピック競技などに選定されることがあれば、さらに発展の可能性は大きくなるでしょう。 eスポーツ市場はまだまだ成長の余地を多く持っている業界です。今後、ますます参入を希望する企業は増え、市場価値は高まっていくことが予想されます。

まとめ

日本で暮らしていると、eスポーツに興味を持っていない限り、その市場の大きさを実感する機会は少ないでしょう。しかし、今回紹介したように世界では既に膨大なeスポーツ市場が出来上がりつつあります。

eスポーツは将来性の高い分野であると同時に、今後ますます知名度が広がり発展していく可能性の高い分野であるとも言えます。未だに「ゲームは遊びだ」と切り捨てるのは、ナンセンスであると言わざるをえません。

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