Nintendo Switch、Play Station、スマホアプリなど、ゲームは今や身近な娯楽として、大人から子供まで幅広い年代の人が楽しんでいます。
しかし、発達途中である子供の場合、ゲームから受ける影響について心配する声も多く聞かれます。ゲームばかりしていては勉強に悪影響があるのではないかと危惧する声や、視力や脳への影響について不安に思っている方も少なくないでしょう。
この記事では、ゲームが子供に与える影響について詳しく紹介します。
ゲームが子供に与える4つの良い影響
美しいグラフィックや音楽、アクション、ストーリーなど、ゲームは画面越しにさまざまな影響を子供に与えます。最初に、子供がゲームから受ける良い影響について紹介します。
1.社交性が高まる
今やゲームを全くしていない子供を探す方が難しい程、子供の生活にはテレビゲームやスマホゲームなどが浸透しています。ゲームを通して友達同士の話題が広まったり、ゲームをきっかけに仲を深めたりする事も多いでしょう。ゲームは社交性を高める一端を担っていると言えます。
また、ゲームをする幼稚園児を対象に行った研究では、ゲームをする子供はゲームをしない子供に比べて社交性スコアが高いという結果を報告しているものもあります。
参照:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2377408/2.創造力が高まる
ゲームでは、現実では実現不可能なストーリーやアクション、キャラクターなどを楽しむ事ができます。現実では体験することのできないストーリーやアクションに触れることで、創造力の向上が期待できます。
3.認知能力が高まる
アクションゲームなどをしている場合、瞬間的に変化する画面のなかで素早い対応が求められます。現れた敵を倒したり、サポートアイテムを獲得したりと、注意深く画面内の変化を認識することで認知能力の向上が期待できると言われています。
特に、視覚や聴覚から素早く次のアクションに対応する行動は、脳にも刺激を与え活性化させる効果も期待できるでしょう。
4.外国語への興味を高める
オンラインゲームでは、人種、国籍関係なく世界中の人と同じゲームを一緒にプレイできます。オンラインゲーム上で知り合った外国人とコミュニケーションをとりたいと思った事をきっかけに、外国語への興味を持つ子供も少なくありません。
自発的に興味を持って語学を学ぶことで、学習効果の高まりが期待できるでしょう。
ゲームが子供に与える2つの悪い影響
ゲームが子供に与える影響は良いものばかりではありません。使い方によっては、悪い影響を受けてしまうこともあります。
続いては、ゲームが子供に与える悪い影響について解説します。
1.ゲーム依存になる可能性がある
ゲームの多くは継続的にプレイしたくなるよう設計されています。そのため、自分を律する能力が未発達な子供の場合、ゲームに依存してしまう可能性があります。
世界保健機構は2019年にゲーム依存を国際疾病と認定しており、年代に関わらずゲーム依存への注意喚起を行っています。
子供がゲームをする際には、適切な管理を行い、ゲーム依存を起こさせない工夫が求められるでしょう。
2.暴力的なゲームの真似をしてしまう可能性がある
ゲームのなかには過激で暴力的なシーンがあるものも存在します。暴力的なゲームをしている子供のなかには、現実の行動や言動まで過激で暴力的になってしまうケースも少なくありません。
ゲームには、過激な表現から子供を守るために年齢別レーティングがあります。ゲーム内の表現によって推奨プレイヤー年齢を指定し、恐怖・セクシャル・暴力など、年齢制限を設ける根拠となる表現についても表示されています。
国内で販売されているゲームには表示が義務付けられているため、子供にゲームを買い与える際にはCEROレーティングをチェックするのがよいでしょう。
【研究論文から読み取る】ゲームが学力に与える影響とは
子供の頃に大人から「ゲームをしていると勉強ができなくなるよ」と言われたことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、ゲームと学力の低下には直接的な根拠があるのか疑問に思っている人も少なくありません。
下校してから就寝までの限られた時間にゲームをしてしまうと、学習のために確保できる時間が短くなるのは明確な事実です。しかし、ゲームをしないからといって学習時間が伸びるわけではありません。
独立行政法人経済産業研究所が発表した論文によると、1時間ゲームやテレビなどの視聴をすることで短縮される学習時間は男の子の場合1.86分、女の子の場合2.7分という結果がでています。
ゲームが学習時間に与える影響は無視できる程ごくわずかであり、親の学習関与が子供の学習時間に大きな影響を与えていることも合わせて発表されています。
参照:子どもはテレビやゲームの時間を勉強時間とトレードするのかー小学低学年の子どもの学習時間の決定要因―ゲームが子供の視力に与える影響
学力と共に昔からゲームのデメリットとして語られてきたのが、視力の低下です。ゲームをして液晶画面を見続けることで、視力が低下してしまうと考える人が少なくありません。
しかし、ゲームと視力の直接的な因果関係については明確に証明されていないのが現状です。視力はゲーム以外にもさまざまな要素で低下する事があるため、ゲームだけを原因として挙げることはできないでしょう。
一方で、厚生労働省がゲームについてのアンケートを行ったもので、興味深いものがありました。10~29歳のうち、10~18歳の回答が多くなるよう設計して行われたアンケートでは、以下の結果が出ています。
【ゲームが腰痛、目の痛み、頭痛、関節や筋肉痛などといった体の問題を引き起こしていても、ゲームを続けましたか?】
1日の平均ゲーム時間 | |
60分未満 | 4.3% |
1時間以上2時間未満 | 7.4% |
2時間以上3時間未満 | 15.2% |
3時間以上4時間未満 | 20.3% |
4時間以上5時間未満 | 24.6% |
5時間以上6時間未満 | 25.2% |
6時間以上 | 40.5% |
上記の結果から、平日のゲーム時間が1時間未満や2時間未満の場合は体調不良が出ている場合におよそ9割以上がゲームをやめることができているのに対し、2時間以上になるとゲームを継続する割合が急増しています。
これらの結果は視力に限定した体調不良ではありませんが、体からのSOSサインを無視してしまえば、何らかの形で影響を受けてしまうことが容易く想像できます。視力に関しても同様の事が言えるのではないでしょうか。
子どもの視力について心配するのであれば、自制のできない子供の内は、体調管理やゲーム時間の管理を保護者が適切に行うことが重要だと言えます。
参照:ネット・ゲームしようと生活習慣についてのアンケート/厚生労働省ゲームで子供に良い影響を与える方法
今やゲームは子供にとって最も身近な娯楽のひとつとして浸透しており、取り上げることはできないと考える保護者も多いでしょう。それならば、できる限り子供にとって良い影響を与えるゲームの利用方法を考えるのがおすすめです。
ゲームを通して成長を促すために、以下の方法を試してみてはいかがでしょうか。
適切な使用ルールを作る
自制が難しい子供の場合、ゲームの使用に関して適切なルールを設けることが重要です。ゲーム時間や環境など、ルールを定め適切に使用することで、悪影響を防ぎ体調面なども保護者が管理しやすくなるでしょう。その他にも、「ルールを守る」という意識を育てることにも繋がります。
ルールを定める際には、子供が納得できる内容にすることも大切です。保護者の都合で一方的なルールを押し付けるのではなく、子供と話し合い納得した上でルールを決定することで、子供もルールを順守する意欲が高まります。
1日のスケジュールを可視化してゲームの時間を考える
「ゲームは平日1時間ね」と言って子供が納得しても、実際に1時間プレイすると「まだゲームをしたい。1時間じゃ足りない」と不満を伝えてくることも珍しくありません。
もちろん「もっとゲームをやりたい」という欲求が強い事も原因のひとつですが、その他に、そもそもルールについて子供の理解度が低いという要因も無視できません。
子供の理解度を高めるために、1日のスケジュールをグラフなどで可視化する方法がおすすめです。
宿題をする時間として1時間、お風呂に入る時間として30分、食事の時間として1時間など、下校から就寝までの時間にすべき事と余る時間を考え、そのなかでゲームをできる時間を可視化して決めてみてください。
子供自身も可視化される事で時間についての理解度が深まり、ルールに対して納得しやすくなるでしょう。また、時間に対する感覚を綿密にイメージできるようになることで、ゲーム以外の事柄に対しても計画性を持って取り組む能力が育まれます。
ゲームの悪影響について子供に説明する
ゲームが与える悪影響は無自覚のまま子供の成長を阻害します。事前にゲームから受ける悪影響について子供と共有しておくことも大切です。
「ゲームに熱中しすぎてしまい、学校や友達・家族よりもゲームを優先してしまうゲーム障害という病気があるんだよ」「暴力的なゲームの真似を現実でもしてしまうと、他人を傷付けてしまう可能性があるよ」など、子供にも分かりやすく説明してあげましょう。
その他、「体調が優れない時はゲームを控えないと、視力が落ちたり体調が悪化したりする事があるからね」「ゲームだけして勉強をしないと、学力が低下してしまうんじゃないかと心配に思っているよ」など、保護者の心配している点についても共有しておくのがおすすめです。
親もゲームに関心を持ってみる
保護者がゲームを全くしない場合、子供が何故そこまで夢中になるのか理解できないこともあるでしょう。また、保護者がゲームに関心を持たない事で、知らない間に子供が過激な表現のゲームをプレイしてしまっているというケースも多く聞かれます。
ゲームを全てクリアするまでプレイする必要はありませんし、プレイ自体も絶対にしなければいけない訳ではありません。子供がプレイしているのを横で見ているだけでも良いです。
子供がどんなゲームをプレイしているのか関心を持つことで、ゲームを通じて子供への理解が深まったりコミュニケーションツールとなったりすることもあります。
【子供向け】ゲームルールの具体例
ゲームのルールは家庭ごとに異なることが多いでしょう。今回は、そのまま家庭で取り入れることのできるゲームルールの具体例を紹介します。
具体例1.勉強とゲームの時間を比例させる
限られた時間のなかでゲームと学業を両立させるのは簡単な事ではありません。そこでおすすめなのが、勉強の時間とゲームの時間を同じだけ取るルールです。
30分勉強したら30分ゲームをしてもOK、1時間勉強をしたら1時間ゲームをしてもOKなど、勉強とゲームの時間を比例させましょう。
子供にとっても理解しやすいルールであり、勉強時間が確保できなくなることを懸念している保護者にもぴったりです。
具体例2.ゲームは親の目の届く場所で使う
子供がゲームをする上でのルールを守れているか、熱中し過ぎるなど悪影響を受けていないか確認するためにも、ゲームは親の目の届く場所で使うルールを作るのがおすすめです。
特に、オンラインのアクションゲームなどの場合、全年齢対象のタイトルであっても熱中し過ぎて、負けると酷く癇癪を起こしたり、相手のプレイに対して過激な口調で文句を言ったりしてしまうケースも少なくありません。
ゲームにのめり込み過ぎてしまっていると感じた場合に、休憩をさせたり口調を注意したりできるよう、子供が自制できない内は親の目の届く場所でゲームをさせることも検討してみてください。
具体例3.ゲーム機の管理は親が行う
ルールを決めたからといって、全ての子供が約束を守れる訳ではありません。目の前にゲームがあれば、子供は誘惑に負けてしまいルールを破ってしまうこともあるでしょう。
ゲームが使用できない時間帯は、親が管理して子供の視界に入れないようにするなど、物理的にルールを守らせる環境を作ることも重要です。
ゲームのルールを運用する際の注意点
ゲームのルールを運用する上で以下の点に注意してください。
ルール違反には罰を設定する
自制心が未熟な子供は、ルール違反を犯してしまうこともあるでしょう。しかし、ルール違反をしてもペナルティを与えられないのであれば「次はバレないようにルール違反をすればよい」と考えてしまう可能性があります。
1度ルール違反をしたなら翌日はゲーム禁止など、ルールを決める際には罰則についても子供と話し合って決めましょう。
保護者もルールを順守する
せっかく決めたルールを保護者の都合で「今日だけ特別ね」と変えてしまうと、子供はルールを守る事への意識が弱まってしまいます。
ルールを決めたのであれば、必ず保護者も同様にルールを順守しましょう。
ゲームの影響が気になるなら子供の習い事にするのもおすすめ
近年eスポーツが世界的に賑わいを見せている事から、ゲームを「習い事」として取り組む子供も増えてきました。
eスポーツとしてゲームをプレイする子供の多くは、「上手くなりたい」「大会に出場したい」など、向上心を持って取り組んでいます。そのため、目的を持たずにゲームをプレイする子供に比べて時間管理や体調管理など、計画的に取り組んでいる姿勢が見られることも多いです。
ダラダラとゲームを続けてしまう事に懸念を持っているのであれば、習い事としてeスポーツをすることを提案してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ゲームは子供にさまざまな影響を与えます。想像力や認知能力を高める良い影響もあれば、ゲーム障害や暴力表現などの悪い影響を与えることもあるでしょう。ただし、悪い影響の多くは、未熟な子供に無責任にゲームを与えてしまうことで起こっているケースが多くみられます。
適切なルールの運用や管理によって、良い影響を多く、悪い影響を最小限にゲームを楽しめる環境を作ってみてください。
AFRAS(アフラス)では、小学生からプロのeスポーツプレイヤーによるマンツーマン指導が受けられます。スクール内の大会なども開催されているため、目標を持ってeスポーツに取り組めます。子供のゲームへの意欲をより前向きにし、高い目標を持って取り組んでほしいと考えているなら、ぜひAFRASでeスポーツについて学んでみてはいかがでしょうか。