
世界中のeスポーツファンを熱狂させているタクティカルFPS『VALORANT』の公式国際大会「VALORANT Champions Tour(以下、VCT)」。2026年シーズンは「Champions 2026」にてブラジル代表のLOUDがフランスのTeam Vitalityを下し、4年ぶり2度目の世界王者に輝く劇的な幕切れを迎えました。
その余韻も冷めやらぬ中、早くも発表されたのが「VCT 2027」の概要と年間スケジュールです。競技シーン発足から8年目を迎える2027年シーズンは、2023年以降続いてきたインターナショナルリーグによる「リーグ制」を撤廃し、かつてのような一発勝負のスリルに満ちた「トーナメント形式」へと大幅刷新されることが明らかになりました。
日本国内チームのパートナーシップ契約の動向や、予選構造の大変革、そして年間スケジュールまで、生まれ変わるVCT 2027のポイントを詳しく紐解いていきます。
1. 最大の転換点:リーグ制の廃止とトーナメント制の復活
「VCT 2027」における最大の目玉は、大会フォーマットの根本的な見直しです。
2023年から2026年までのVCTは、世界4地域(Pacific、Americas、EMEA、CN)に分かれたパートナーチームを中心とする固定リーグ戦がベースとなっていました。しかし、2027年からは全大会が従来のトーナメント方式へと回帰します。
このフォーマット変更がもたらす最大の利点は、「すべてのチームに世界大会への門戸が開かれた」という点です。一方で、パートナーチームにとってはかつてない試練のシーズンとなります。
これまでパートナーチームはTier 1の大会やレギュラーシーズンへの出場権が年間を通して確約されていました。しかし2027年シーズンからは、出場が保証されるのはシーズン開幕戦である「KICKOFF」のみ。それ以降の国際大会や世界大会への切符は、パートナーチームであろうと予選から自力で勝ち取らなければなりません。
実力さえあればオープン予選から世界一まで駆け上がれる夢がある反面、調子を落としたパートナーチームが序盤で敗退し、年間を通じて一度も国際大会に姿を現せないリスクを常に背負うことになります。
2. パートナーチームの再選考:日本勢の明暗と枠の縮小
大会構造の変化に伴い、ライアットゲームズとパートナーシップ契約を結ぶチームの再選考が実施されました。各地域10チーム(世界計40チーム)存在していたパートナー枠は、各地域8チーム(世界計32チーム)へと削減されています。

日本チームの選出結果
日本が所属する「VCT Pacific」においては、以下の2チームがパートナー契約を締結しました。
- ZETA DIVISION(継続)2023年からの実績や圧倒的なコミュニティ影響力、運営の安定性が評価され、2027-2028年シーズンの2年サイクルでパートナーシップ契約を再締結。
- Crazy Raccoon(新規選出)絶大な人気と発信力、競技シーンへの貢献度を背景に、待望のVCTパートナーチーム入りを果たしました。
一方で、2023年よりVCT Pacificを戦い抜いてきたDetonatioN FocusMe(DFM)は落選。非常に悔しい結果となりましたが、VALORANT部門自体の活動継続を宣言しており、今後は予選トーナメントからの下克上を目指すことになります。
パシフィック全体の波乱
VCT Pacificで初期から継続選出されたのは、Paper Rex(シンガポール)、Rex Regum Qeon(インドネシア)、T1(韓国)、Gen.G(韓国)、そしてZETA DIVISIONの5チームのみ。韓国の絶対的強豪として君臨してきたDRXがパートナー枠から外れるなど、国内外に大きな衝撃を与えました。
パートナーチームの待遇と経済的格差
出場確約枠が減ったとはいえ、パートナーチームには基本報酬の支給、パフォーマンスボーナス、チームカプセル(ゲーム内スキン)の売上分配といった強固な経済的支援が用意されています。eスポーツ業界においてチームの持続的な運営基盤があることは、移籍市場で優秀なタレントを確保する上でも依然として大きなアドバンテージとなります。
3. 全チームが激突する新予選構造「Opens」
レギュラーシーズンが廃止されたことで、大会の出場資格を争う地域予選「Opens」の重要性が飛躍的に高まりました。従来のChallengers(Tier 2)の位置付けを刷新した仕組みで、16の地域で開催されます。
「Opens」は主に以下のフェーズに分類されます。
- KO Open(Kickoff予選)2026年11月に開幕。パートナー以外のチームが参加し、開幕国際大会「KICKOFF」に進出する4枠を争います。
- Open / Play-In / Playoff(Cupsに向けた予選)後述する「Cups」出場枠をかけた予選網です。条件を満たせば誰もが参加できる「Open予選」から始まり、「Play-In」を経て、最終決戦である「Playoff」へと進みます。直前の世界大会(Masters)で好成績を収めたチームにはPlayoffへのシード権が付与されます。
Pacific地域における「Cups」の進出枠は「12」。内訳は日本が3枠、韓国が3枠、東南アジアが2枠、タイ・インドネシア・ベトナムが各1枠。そして残る1枠を、南アジアやオセアニアを含む全地域がしのぎを削る「LCQ(ラストチャンス予選)」で争います。
日本に直接の進出枠が3枠確保されている点は朗報ですが、パートナーであるZETAやCrazy Raccoonであっても、Playoffで敗れればその時点で本戦を逃すシビアな戦いが待っています。
4. 「VCT 2027」年間スケジュールと国際大会

「VCT 2027」は、従来の年明け開幕から前倒しされ、2026年11月からスタートする過密かつタイトなスケジュールが組まれています。
| 時期 | 大会名・イベント | 概要・開催地 |
|---|---|---|
| 2026年11月〜 | KO Open / KICKOFF | パートナー8組+KO Open勝者4組によるシーズン開幕戦 |
| 2027年初頭 | Masters Seoul | 2027年最初の世界大会(韓国・ソウル) |
| 春季 | Opens / Cups 1 | かつてのレギュラーシーズンに代わる広域トーナメント |
| 初夏 | Masters Valencia | 年間2度目となる世界大会(スペイン・バレンシア) |
| 夏季 | Opens / Cups 2 | 年間王者決定戦への出場権をかけた最後の地域大会 |
| 秋季 | Champions | 世界最強の座と栄冠を争う最高峰のグランドファイナル |
年間の流れとしては、KICKOFFを経て「Masters Seoul」へ、その後「Cups 1」を経て「Masters Valencia」へ、そして「Cups 2」から最終決戦「Champions」へと繋がっていきます。
また、タイトルにもある通り、期間中にはかつて熱狂を巻き起こした国際大会の日本・東京開催が予定されており、ホームの大歓声の中で世界のトッププロが激突する姿を再び現地で目撃できることになります。
5. まとめ:ドラマと下克上に満ちた新時代
「VCT 2027」へのアップデートは、競技シーンにおける既得権益を薄め、純粋なトーナメントの緊張感と実力主義を取り戻す抜本的な改革と言えます。
- 実力至上主義: 無名のアマチュアや新興チームでも、予選を勝ち抜けば一気にMastersやChampionsの舞台へ駆け上がることが可能。
- 強豪への試練: 過去の実績にかかわらず、常にトーナメントで勝ち続けなければ国際大会の舞台から姿を消すプレッシャー。
- 日本勢の挑戦: 新たに選ばれたCrazy Raccoon、王座維持を狙うZETA DIVISION、そして予選からのリベンジを期すDFMや国内Tier 2勢の熱い戦い。
トーナメント特有のジャイアントキリングや劇的なドラマが、これまで以上に頻発することは間違いありません。2026年11月の開幕から始まるVALORANTの新章に、世界中のファンの視線が集まっています。
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