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コラム

高齢者がeスポーツをするメリット4つ!事例や問題点・導入する時のコツも解説

eスポーツを「若者だけのスポーツ」と認識している人は決して少なくありません。実際に10~20代の競技人口は全体を大きく占めており、観戦者の層も同じく若者が多い傾向にあります。フィギュアスケートやスケートボードなど、他にも選手の年齢層やファン層の年代が若いスポーツは多くありますが、eスポーツはコンピューターゲームを用いることで、特に高齢者には受け入れがたい面も多くあるでしょう。

しかし、近年eスポーツが高齢者に与える影響が注目を集めており、さまざまな効果が期待できることが分かってきています。

自治体などでも高齢者支援の取り組みとしてeスポーツを導入するケースが増えてきました。

今回は、高齢者とeスポーツの関係性について解説します。eスポーツをすることによって高齢者が得られるメリットや導入のポイントなども詳しく解説しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

eスポーツは高齢者でもできる?

eスポーツとはelectronic sports(エレクトロニック スポーツ)の略称で、コンピューターゲームを用いて勝敗を競う競技です。すでに世界の競技人口は1億人を越えているといわれており、世界中で競技会が行われています。

eスポーツプレイヤーは比較的若い年代の選手が多く、10代でありながら世界で活躍する選手も数多くいます。ファン層もZ世代を中心に形成されていることから、若い人だけのスポーツと捉えられていることは否定できません。

しかし、eスポーツは年齢を問わず誰でも始めることができるスポーツです。ジェンダーレスでありエイジレスなスポーツであるため、高齢者でも平等に競技を楽しむことができます。

実際に、日本でも秋田県を拠点に活動するeスポーツチーム「マタギスナイパーズ」の選手平均年齢は60歳を超えており、VALORANTやApex Legends、Fortniteなどのシューティングゲームタイトルを中心に活動しています。

さらに海外では平均年齢70歳越えのスウェーデン発祥eスポーツチーム「シルバースナイパーズ」が活躍しており、カウンターストライクなどのタイトルを中心に輝かしい活躍を見せています。

このように、eスポーツは若者だけの競技ではなく、年代を問わず誰でも挑戦できるスポーツと言えるでしょう。

高齢者がeスポーツをするメリット4つ

もちろん、趣味の一環や娯楽としてeスポーツに親しむのもよいでしょう。しかし、高齢者がeスポーツをプレイする事には、趣味や娯楽以上のメリットがあります。続いては、高齢者がeスポーツをすることで期待できるメリットについて解説します。

メリット1.認知機能の維持や改善に繋がる

eスポーツではさまざまな状況で的確に次のアクションを起こすことが求められます。プレイ中は認知機能をフルに活用するため、老化によって衰えやすい認知機能の維持や改善に効果が期待できるでしょう。

平成国際大学 スポーツ健康学部が発表した論文では、eスポーツによる認知トレーニングには注意機能向上の効果があるとして発表されています。

このような論文などを元に、近年高齢者支援施設や自治体でも高齢者に対するeスポーツ支援が導入されています。高齢者にとって認知機能の低下は、日常生活に支障をきたすだけでなく記憶障害や失語、失行、遂行機能障害などを起こす原因となる可能性も少なくありません。

eスポーツに親しむことで認知機能の低下による障害等のリスクを低減する効果が期待できるでしょう。

参考文献:高齢者を対象としたeスポーツによる認知トレーニングの効果検証と参加意欲に関する研究

メリット2.身体が不自由でもできる

高齢になると身体の筋肉量が低下したり、骨密度が低くなったりすることから、激しいスポーツが難しくなることも珍しくありません。

eスポーツは室内で椅子に座ってプレイをするため、体が不自由であってもプレイに支障をきたすことは少ないでしょう。eスポーツは身体が不自由な方でも、座ったままやベッドに横になった状態でプレイする事も可能です。

パソコンを使ったタイトルでは、細やかな操作が求められる一方、使用するハードによっては握る、押すなどの動作ができれば問題のないものも多くあります。全てのタイトルで複雑な操作が求められる訳ではないので、自分の体に合ったタイトルを選んで競技を楽しむ事ができるでしょう。

メリット3.事故や怪我などのリスクが低い

高齢者にとってスポーツ中の事故や怪我は、若者が受ける以上に大きなリスクと言えます。スポーツをする上で最も避けたいものであるといってもよいでしょう。特に高齢者の場合は、筋力低下による転倒から骨折などを起こしてしまい、そのまま寝たきりになってしまうといったケースも多く聞かれます。高齢者が取り組むスポーツには安全性が特に求められるのです。

その点、eスポーツは安全に配慮された屋内で他人との接触などもなく行えるスポーツなので、事故や怪我のリスクは極めて低いと言ってよいでしょう。

体を動かすタイプのゲームタイトルであっても、一般的なスポーツに比べれると運動負荷は低い為、身体に支障をきたす可能性は低いと言えます。

メリット4.達成感を得られる

スポーツの醍醐味と言えば、記録が伸びた時や勝負に勝った時に得られる達成感です。反復して練習をした末に得た喜ばしい結果は、人生に彩りを与えてくれる大きな刺激となります。

eスポーツはさまざまな達成感を得られるスポーツです。勝ち負けにこだわりたい人であれば、インターネットを通じて世界中のプレイヤーと対戦できます。子どもから大人まで世代の隔たりもないため、より高いスキルのプレイヤーを撃破していく興奮は大きな刺激となるでしょう。

高齢者支援の一環としてeスポーツを導入する事例が増加傾向

前項で紹介したように、eスポーツは高齢者にとってさまざまなメリットがあります。これらのメリットに着目し、高齢者支援の一環としてeスポーツを導入するケースも増加傾向にあります。

リズムゲーム、パズルゲーム、体感型のレーシングゲームなど、高齢者でも始めやすいタイトルを用いてさまざまな高齢者支援が行われています。ゲームを用いることで、近隣の児童達と一緒に取り組むなど、若い世代との交流にも繋がっているという事例も聞かれます。

日本eスポーツ連合でも、自治体関係者向けにeスポーツを活用した支援セミナーを開催するなど、推進のための動きが見られることから、今後ますます普及していくことでしょう。

高齢者がeスポーツを始める際の問題点

高齢者にとってeスポーツはさまざまなメリットを得られる有意義なスポーツのひとつです。しかし、コンピューターゲームという特殊な機器を用いて行う事から、導入に際する問題点も多く見受けられます。

続いては、高齢者がeスポーツを始める際の問題点について紹介します。

新しい物を受け入れるのが難しい

年々身体能力が衰え、認知機能が徐々に低下していくなかで、これまで全く触れたことのないコンピューターゲームを始めるのは簡単な事ではありません。コンピューターが普及した時や携帯電話が普及した時、スマホが普及した時なども、世界中で多くの人が新しい物を受け入れるなかで取り残されていく高齢者は多くいました。

いくらメリットを挙げたところで、高齢者自身がプレイしてみてくれなければ何も始まりません。eスポーツにおいても、「新しいから」「やった事がないから」「自分にはできないから」と挑戦すらしてもらえないというケースも少なくないでしょう。

コンピューターへの拒否感

高齢者のなかにはコンピューターに対して特別な忌避感を持っている人も少なくありません。もともと、コンピューターは高額であるため、「おかしなボタンを押してしまって壊れたらどうしよう」「コンピューターウイルスに感染したらどうしよう」「詐欺に巻き込まれてしまったらどうしよう」など、必要以上にコンピューターを怖がってしまう人もいます。

周囲にゲームをしていることを知られたくない

高齢者のなかには体裁を気にする人も多くいます。「ゲームは子供のおもちゃ」という認識が強いからこそ「いい年をしてゲームをするなんてみっともない」など、周囲の人から悪く思われてしまうんじゃないかと不安でeスポーツを始められないケースもあるでしょう。

高齢者にeスポーツを始めてもらうには

高齢者にとってeスポーツがいくら有意義なスポーツであっても、興味を持ってもらったり実際にプレイしてみたりしてもらえなければ、メリットを実感してもらうことはできません。

最後に、高齢者にeスポーツを始めてもらう導入のコツを紹介します。

体感的に操作しやすいタイトルから導入する

ゲームはジャンルやタイトルによって難易度が大きく異なります。まずは、簡単に操作でき、なおかつ体感的な操作でプレイできるタイトルを選ぶのがおすすめです。

高齢者向けのeスポーツとして採用されることが多いタイトルとして「ぷよぷよeスポーツ」や「太鼓の達人」「グランツーリスモ」「マリオカート」などがあります。

ぷよぷよeスポーツは十字キーとぷよの回転ボタンのみを使用するため、初めてプレイする人でも操作が簡単ではじめやすいでしょう。特に高齢者の場合、操作は簡単であればあるほど導入しやすくなります。同じ色のぷよを繋げるというルールも理解しやすいため、高齢者向けeスポーツタイトルとして非常に人気が高いタイトルです。

また、専用のコントローラーを用いて体感的に操作できるゲームタイトルは、高齢者でもプレイしやすいでしょう。太鼓の達人やグランツーリスモ、マリオカートなど、太鼓型やハンドル型などの専用コントローラーがあるタイトルなら、シンプルで高齢者でも操作がしやすくeスポーツに親しみやすいです。

eスポーツで活躍している高齢者の存在を知ってもらう

高齢者にeスポーツを始めてもらうポイントとして、実際にeスポーツをプレイしている高齢者の存在を知ってもらうことも効果的です。記事の前半で紹介した秋田の高齢者eスポーツチーム「マタギスナイアパーズ」などはYouTubeでプレイ動画を配信しています。

実際に自分と同年代であったり、自分より高齢な人がeスポーツに親しんでいる姿を見ると「自分にもできるかもしれない」という気持ちが沸きやすくなるでしょう。

少人数もしくは個別で導入する

高齢者のなかには、新しい物やこれまで触れてこなかった物に興味はあっても周囲の目が気になって挑戦できないという方も少なくありません。そのため、eスポーツを導入する際にはなるべく少人数もしくは個別で積極的にeスポーツに挑戦しやすい環境を準備しましょう。

指導者とマンツーマンであれば、より積極的に取り組みやすい環境を用意することができます。

老化防止に効果が期待できるeスポーツを高齢者にも

eスポーツはコンピューターゲームを扱うため、どうしても若者の文化と捉えられがちです。しかし、認知機能をフルに活用する特性から、高齢者にこそ挑戦して欲しいスポーツとも言えます。

身体的なハンデなく世代を越えて競う事ができるeスポーツは、上手く取り入れることで高齢者の老化予防にも効果が期待できます。新しい事への挑戦することや刺激を受けること、さらにインターネットを使用して世代や国籍を越えて交流することで、これまでにない達成感を得ることもできるでしょう。

ぜひ、身近な高齢者の方にeスポーツをおすすめしてみてはいかがでしょうか。

AFRAS(アフラス)はeスポーツを学べるゲーミングスクールです。講師がマンツーマンで指導するため、年齢を気にせずeスポーツを学ぶことができます。個別指導なので、周囲の目を気にすることなくeスポーツを学べるため、高齢者の方にもおすすめです。

eスポーツは世界で続々と競技人口を増やしており、高齢でもeスポーツを楽しんでいる方も多くいます。AFRASでこれまでにない経験や刺激を受けてみませんか。