ゲームをしているなかで、不思議な挙動をしているプレイヤーや本来ならあり得ない攻撃を仕掛けてくるプレイヤーに遭遇したことはありませんか?もしかすると、相手プレイヤーはグリッチを使っているのかもしれません。
この記事では、ゲーム用語のグリッチについて分かりやすく解説します。合わせて、グリッチはゲームをプレイするうえでありのか、なしのかについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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ゲーム用語の「グリッチ」とは

ゲーム用語で使われる「グリッチ」とは、誤作動を用いた技のことを指します。システム開発者の意図に反して起こってしまう誤作動。誤作動を利用してゲームを有利に進めることをグリッチと言います。
いわゆる「裏技」「バグ技」と呼ばれているこのテクニックは、一定の再現性を有することが多く、毎回同じ手順を繰り返すことでプレイヤーが意図して使うことができるものです。
アップデートなどで不具合が修正されると使えなくなることが多く、SNSなどでグリッチが発見されると情報が拡散され、プレイヤー達は期間限定のバグ技プレイを楽しみます。
グリッチの語源
グリッチは英語の「glitch」が語源となっています。機会の故障、誤作動などを意味する言葉で、本来はコンピューターのバグを意味する基本的な言葉でした。
グリッチはさまざまなジャンルで使われる
グリッチはゲーム用語以外にも、さまざまなジャンルで用いられている言葉です。
アート手法としてのグリッチ
アート手法のひとつとして、作品に意図的なノイズを加えることを「グリッチ」と言います。古くから、システムに誤作動が起きると画面がザーっとノイズで埋め尽くされてしまう現象が起きていました。この現象から着想を得て生まれたのが、グリッチです。
レトロさやサイバー感を表現する手法としてグリッチが用いられています。
コンピューター用語としてのグリッチ
コンピューター用語として用いられるグリッチは、一過性のシステム障害を意味します。システムに継続的な障害をもたらす可能性の高いバグに比べて、一過性であり比較的簡易的に対処できる誤作動をグリッチと表現することが多いです。
バグはゲームシステムに大きな影響を与え、システムそのものを破壊する可能性のある深刻な状況で用いられるのに対し、グリッチはシステム開発者の意図しなかった突発的なコード入力などによって発生する一時的な誤作動に過ぎません。
音楽ジャンルとしてのグリッチ
音楽ジャンルにもグリッチが存在します。エロクトロニカルミュージックの代表的なサウンドとして知られており、システムが誤作動した時のようなサイバー感の強い音源を用いた音楽です。
独特な音域の高さや不安定な曲調などが多いですが、コアなファンの多い音楽ジャンルとして知られています。
グリッチとチートは何が違うの?

グリッチと似たゲーム用語に「チート」があります。グリッチはゲームシステムの不具合を利用するため、多くの場合ゲームにおいてシステムルールを無視した有利的状況になれることが多いです。
一方、チートは外部からゲームシステムを改ざんして圧倒的有利な状況を作れる行為を指します。シューティングゲームにおける自動エイムや攻撃を無効化するなどの効力が見られることが多いです。
グリッチもチートも、ゲームに本来設計されているバランスを崩す行為です。しかし、システム側が原因で起こっている不具合を利用しているだけのグリッチと、システムに不正アクセスして改ざんしているチートでは悪質さが大きく異なるでしょう。
チートは、多くのオンラインゲームで通報対象とされており、行為が確認された場合は問答無用で永久BAN(アカウントの永久凍結)されることも珍しくありません。
チートに関しては下記で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
ゲームのチートとは?チート行為の危険性やペナルティ・チートの見分け方など解説
RTAで用いられることが多いグリッチ

グリッチがゲームマナーとして有りなのか、無しなのかは後程解説しますが、特にグリッチによるバグ技が頻繁に見受けられるジャンルがあります。
それがRTA(Real Time Atack)です。RTAとは、ゲームをクリアするまでの時間を競う遊び方です。国内外で大規模な大会なども開催されており、代表的なものに「Game Done Quick」があります。
メジャータイトルでは、スーパーマリオブラザーズのRTAなどが広く知られています。出来る限り早くステージをクリアしタイムを競うため、RTAでは1秒でも時間を短縮することが求められます。
そこで活用されるのがグリッチです。ゲーム仕様による不具合であるグリッチはRTA界隈では容認されることが多く、時間短縮のためのテクニックと考えられています。
グリッチは違法?

グリッチは一見「ちょっとした裏技」のようにも思えますが、使い方によっては問題視されることもあります。このセクションでは、グリッチが違法になる可能性や、ゲーム運営側がどのような対応をしているのかについて詳しく見ていきましょう。
グリッチが法律に違反するケースはあるのか?
通常、グリッチの使用が直接的に法律違反となることは少ないです。ただし、営利目的で悪用したり、不正アクセスや不正プログラムと組み合わせた場合には、不正競争防止法や不正アクセス禁止法に抵触するリスクがあります。特にオンラインゲームやサービスでは慎重な対応が求められます。
グリッチ使用はゲーム運営の規約違反になる?
ほとんどのオンラインゲームでは、利用規約に「不具合を利用したプレイの禁止」が明記されています。このため、たとえ意図的ではなくてもグリッチを使ったと判断されれば、アカウント停止やランキング除外といったペナルティを受けることがあります。
結局のところグリッチはあり?なし?

続いて、グリッチはゲームにおいてありなのか、なしなのかについて詳しく紹介します。
オフラインなら「あり」
基本的にオフラインゲームおけるグリッチは容認されています。それは、誰に迷惑をかけることも、ゲームバランスを崩すこともないからです。
例えば、スーパーマリオブラザーズのRTAにグリッチを使ったからといって、迷惑を被るプレイヤーは存在しません。
オフライン型のRPGなどでも同様です。2017年に発売され、幅広い年代から人気を集めた「ゼルダの伝説Breath of the Wild」などでも多くのグリッチ情報がSNSで共有されていました。
自分自身が満足いくゲーム体験を得るために、オフライン環境でグリッチを利用することは特に問題ないでしょう。グリッチを利用することで、RTAのようなゲームの新たな楽しみ方が生まれることもあります。
オンラインなら「なし」
一方で、オンラインゲームにおけるグリッチは、ゲームバランスの崩壊を招いてしまう恐れがあります。そのため、オンラインプレイにおけるグリッチはペナルティの対象とされることが多いです。
特に対戦型のオンラインゲームでは、多くのプレイヤーがゲームを楽しめるよう、武器やステージなどのさまざまな設定値を調整することで公平性を持ってゲームバランスを維持してます。
グリッチを行うと、一気にそれらのゲームバランスが崩れてしまう可能性があるのです。グリッチを行っているプレイヤーは楽しくゲームが出来るかもしれませんが、他のプレイヤーにとっては迷惑以外の何ものでもありません。
ゲームバランスが崩れてしまうと、ゲームとしての魅力を損ない、コンテンツとしての衰退を助長してしまうおそれがあります。サービスを長く提供してもらうためにも、意図して制作されたシステムのなかで、ルールに従いながらゲームを楽しみましょう。
合わせて、システム側もグリッチが報告された際には速やかなアップデートにより誤作動を修正するなど対応を行っています。
ゲームによっては、グリッチが確認された場合、アカウントの一時停止や永久凍結などの処分を行うと利用規約に明言しているタイトルもあります。基本的にオンラインゲームにおけるグリッチは不正プレイであるという認識を持っておいた方がよいでしょう。
オフラインでもグリッチにはリスクがある点に注意

他人に迷惑をかけたり、オンライン上でゲームの公平性を損ったりするようなことがないオフラインゲームにおいて、グリッチは容認されることが多いです。しかし、グリッチではシステムの不具合を利用しているという認識を忘れてはいけません。
何らかの状況によりグリッチが深刻なバグに発展してしまった場合、データの損傷などのリスクがあることを必ず念頭に置いておきましょう。最悪の場合は、ゲームハードにまで影響を及ぼす可能性も示唆されているため、グリッチによる損害は自己責任の結果となります。
また、オフラインゲームであっても、システムの更新によってアップデートされると不具合が修正されグリッチが使えなくなることがあることも理解しておいてください。
オンラインゲームでグリッチを発見した際には通報すべき?

オンラインゲームをプレイしているなかで、相手プレイヤーがグリッチ技を利用しているシーンを目撃したことがある人もいるでしょう。基本的にオンライン上ではマナー違反とされているものの、ゲームシステムが常に監視している訳ではないので、通報されなければプレイヤーがグリッチに対するペナルティを受けることはありません。
グリッチはあくまで、「システム側の用意した状況下で起こる不具合を利用しているだけのもの」という認識から、「迷惑行為として通報してもいいのか?」と悩む人が少なくありません。
グリッチが起こるということは、システムに不具合があるということです。今は再現性のある軽度の不具合かもしれませんが、システム側が気付かず放置してしまうと重大なエラーに発展してしまう可能性もあります。
ゲームの公平性を保つ目的もありますが、何よりもゲームを製作者の意図している仕様で健全に楽しむために「不具合の報告」としてグリッチを通報するのがよいでしょう。
グリッチを悪用するとどうなる?実際にあった炎上・BAN事例

グリッチを意図的に利用したり、ルールぎりぎりで使ったりすると、アカウント停止や炎上など大きな影響を招くことがあります。ここでは、リアルな事件を通じて罰則やリスクを明確に示し、読者の理解と説得力を高めます。
大会でのグリッチ使用が発覚しチームが失格
2025年1月、ESL One Raleigh 予選にてNAVI Juniorが「Smoke of Deceit」バグを使用したとして失格処分を受けました。大会運営は公式X(旧Twitter)で発表し、代わりにAVULUSが出場権を獲得。広く議論となり、コミュニティでは「他にも似た行為があったのでは」との声もあります。
参照:GOSUGAMERS
人気配信者がグリッチ使用を疑われて炎上
Facebook配信中、ゲーム内「速度グリッチ」を利用して不自然な加速を見せたストリーマーが即時BAN。コメント欄でStreamer gets Live Banned for Abusing Speed Glitchと報告されましたまた。YouTubeでは「Popular Twitch Streamer Banned From Battlegrounds After Exploiting Glitch」という動画タイトルで、グリッチ利用の事例が紹介され、話題を集めています
無自覚でもBANされた?運営の判断基準とは
運営規約には「不具合の利用は禁止」と明確に記載されており、無意識であっても規約違反と判断されればペナルティの対象になります。特にEsports Integrity Commission(ESIC)は、バグの故意的使用に対して選手・コーチへ長期停止やライフタイムBANを科しており、無意識であっても“使った事実”が処分に至るケースもあるといえます。
参照:『CS:GO』昨年発覚の観戦バグ不正利用問題に関してValveが処分内容を発表―最大で永久BAN、大会中の通信禁止など新ルールも
【ゲームタイトル別】有名なグリッチ技

最後にゲームタイトル別に有名なグリッチ技を紹介します。
Apex Legends
Apex Legendsでは、壁登り直後の挙動が遅くなり、登った先に相手プレイヤーがいた場合、すぐに攻撃に切り替えることができずに打ち合いになるケースが多いです。しかも、挙動の遅さから壁登りをしたプレイヤーが不利な状況に陥る場合が少なくありません。
しかし、直前にジャンプをしてから壁登りをすると登り切った後のモーションが素早く行え、有利に攻撃を仕掛けることができます。
オンライン上でのグリッチ技で、長期間修正されない状態が続いています。
(2025年3月に確認されたグリッチ)
スプラトゥーン3
スプラトゥーン3のヒーローモードで、最終のボスステージ直前に現れる赤い鉄骨。本来なら、インクを塗った部分のみイカ泳ぎで登れる仕様ですが、この赤い鉄骨のみ周囲をインクで埋めていればイカ泳ぎで、インクが塗られていない鉄骨を上っていくことができます。
特に、登った先に何かある訳ではありませんが、ヒーローモードでプレイする際には一度試してみてはいかがでしょうか。
(2023年8月に確認されたグリッチ)
FORTNITE
ある特定のマップコードを入力してXPマップをプライベートモードでプレイし、順序通りに行動すると簡単にレベルアップが可能なグリッチがあります。グリッチ技を紹介するゲーム動画などで話題になっていますが、ゲームの公平性を損なう重大なグリッチのため、近日中には修正されるのでは?と言われています。
(2025年4月に確認されたグリッチ)
なぜグリッチは見つかるの?開発側の視点から見る原因と仕組み

グリッチは、なぜゲーム内で起きてしまうのでしょうか?バグと違い「一部のユーザーだけが特定条件で遭遇する」ことが多いため、開発者ですら把握しきれない場合もあります。ここでは、開発現場の視点から見たグリッチの発生原因と、その背景にある技術的な仕組みについて解説します。
プログラムの処理ミスで起こる代表的グリッチ
ゲームは何千・何万行ものコードで動いており、すべての処理を完璧に動かすのは至難の業です。
たとえば「座標の管理ミス」や「当たり判定の順序のズレ」など、特定条件が揃うことで発生するレアなエラーがグリッチの原因になることがあります。普通のプレイでは起こらなくても、意図的な行動を取った場合にだけ発現するのが特徴です。
物理エンジンの「抜け穴」が原因に?
3Dゲームでは物理エンジンを使ってキャラクターやオブジェクトの動きを再現していますが、予期せぬ相互作用によって「壁をすり抜ける」「急加速する」といったグリッチが生まれることがあります。
たとえば、オブジェクトが狭い隙間に押し込まれた際に、座標が強制的に外へ跳ね飛ばされるといった現象がこれにあたります。
ゲームテストではなぜ見逃されるのか?
ゲームは発売前に「デバッグ」や「QAテスト」が行われますが、それでもグリッチが残る理由は膨大な組み合わせの中で全パターンを検証しきれないからです。
開発中に再現できなかった現象が、製品版でプレイヤーの“想定外の行動”によって初めて発見されるケースも珍しくありません。これは「ユーザーの創造力がテスターを超える瞬間」でもあります。
グリッチに関するよくあるFAQ

グリッチにまつわる疑問や誤解は意外と多くあります。ここでは、初心者が特に気になる「バグとの違い」「違法性」「アートとしての応用」など、よくある質問にわかりやすく答えていきます。
Q:グリッチとバグの違いは何ですか?
A:どちらもプログラムの想定外の挙動ですが、バグは単なる不具合・ミスであり、開発側にとって修正すべきものです。一方グリッチは、ユーザーが偶然発見し、ゲーム攻略や演出の一環として“活用されることがある”エラー現象です。
Q:グリッチは違法行為ですか?
A:法的にはグリッチ使用が直接違法となることはほとんどありませんが、オンラインゲームやサービスの利用規約に違反するケースが多いため、アカウント停止などのペナルティを受ける可能性があります。特に対戦型ゲームでは公平性の観点から厳しく取り締まられています。
Q:グリッチアートってどうやって作るの?
A:グリッチアートは、デジタルデータをあえて破損させたり加工したりして生じるデジタルノイズをアートとして昇華する表現手法です。画像ファイルをテキストエディタで編集したり、専用のグリッチ加工アプリやソフトを使って制作されます。偶然性と実験性が魅力のジャンルです。
Q:グリッチは修正されることがありますか?
A:はい。多くの場合、開発者がアップデートやパッチで修正する対象となります。特にゲームにおいては、不正なグリッチが放置されるとバランスが崩れるため、迅速な修正対応が行われることが一般的です。ただし、アートや映像作品におけるグリッチは「表現」として受け入れられることもあります。
グリッチを使わなくても勝てるプレイヤーになる
ゲームの不具合を利用したテクニックであるグリッチについて紹介してきました。グリッチによって強くなったとしても、それは本当の意味でゲームが上手くなったとは言えません。不具合が修正されれば使えなくなってしまう技であり、ゲームの仕様に則ったプレイではないからです。
ゲームは正々堂々勝負するからこそ面白いものです。ぜひゲームスキルを磨いて、グリッチを使わなくても勝てるプレイヤーを目指してください。
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