今話題のeスポーツという競技をご存じでしょうか。eスポーツは世界中で盛り上がりを見せていますが、サッカーや野球などのメジャースポーツに比べると、まだ認知度が低いのが現状です。特に日本はeスポーツの文化が浸透しておらず「聞いた事はあるけど、よく分からない」という人も少なくありません。
そこで、この記事ではeスポーツについて徹底解説します。eスポーツの定義や歴史、主な種目、大会規模・賞金、市場、今後の展望など、多角的にeスポーツを紹介します。合わせて、eスポーツワールドカップやオリンピックの正式種目化などについても最新情報を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
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eスポーツとは?

「eスポーツ」とは、「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略で、コンピューターゲームやビデオゲーム、スマホゲームを使ってプレイする、対戦競技のことです。
eスポーツは、近年国内外で盛り上がりを見せており、日本でも大規模な大会やリーグ戦が開催されたり、政府主導で環境整備を進めていく方針が示されたりしているところです。
eスポーツの定義
日本eスポーツ連盟では、eスポーツの定義を以下としています。
“「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称です。”
ただし、社会的には未だ知名度が低いため、この定義に当てはまらないものもeスポーツと呼ばれている傾向にあります。その最たる例にminecraft(マイクラフト)があり、eスポーツ教室と銘打って、同作を用いたプログラミング指導などをしているケースも少なくありません。
eスポーツはスポーツじゃない?
「eスポーツはスポーツではない」という意見も根強く存在します。その理由として多いのが、「身体を動かさないから」「健康的ではないから」といったフィジカル面への懸念です。
また、長時間のゲームプレイによる依存症や視力低下などの健康リスクも指摘されており、教育現場や保護者世代からの抵抗感は根強いでしょう。
「ゲーム=娯楽」という固定観念もあり、感覚的にスポーツと結びつきにくいという声もあります。このような意見は、eスポーツの持つ“競技性”をまだ正しく理解されていないことに起因している場合が多いです。
eスポーツの競技人口
eスポーツの競技人口は世界中で年々増加しており、2025年には約1億3,000万人にのぼると推測されています。日本国内でもeスポーツの認知が徐々に広まり、学校の部活としてeスポーツを取り入れるケースが増えてきたことから競技人口は増加傾向にあります。
2025年時点での日本国内におけるeスポーツ競技人口は約400万人と推察されており、近年爆発的な勢いで増加しているのが現状です。プレイヤーの年代は若年層が多いものの、家庭用ゲーム機の全盛期に子ども時代を過ごした30代、40代が少なくありません。
とはいえ、パソコンゲームやオンラインゲームに慣れ親しんだZ世代が圧倒的に多く、続々と若手有力プレイヤーが世界の舞台へと出場を果たしています。
eスポーツの歴史

JeSUより引用
eスポーツの歴史を紐解くと、なんと50年以上前までさかのぼることができます。
1972年10月19日にスタンフォード大学で開催された「スペースウォー!」というゲームの大会が最初とされています。
日本でeスポーツが盛んになってきたのは、2010年頃からです。世界から10年遅れをとってeスポーツに参入した日本は、後進国と言っても過言ではありません。しかし、日本のお家芸ともいえる格闘ゲームジャンルなどでは、世界でも類を見ない強さを見せるプロプレイヤーが活躍しています。
近年はFPSやMOBAジャンルなどでも、世界大会常連出場を果たす日本チームなどが現れはじめ、ようやく世界と肩を並べられるようになってきました。
eスポーツの競技種目と主なゲームタイトル

続いては、eスポーツの競技種目や主なゲームタイトルについて紹介します。eスポーツにはさまざまなジャンルの競技が存在し、ジャンルごとにメジャータイトルがあります。
メジャータイトルはeスポーツの競技性にマッチしていることから、世界競技会などで採用されることも多く、プレイ人口の多さが特徴です。
FPS・TPS
FPSは、First Person Shooter(ファーストパーソンシューター)の略称で、一人称型のシューティングゲームを指します。画面表示されるのは、基本的に自分自身の視界のみであるため、死角からの攻撃などに注意しながらプレイする臨場感が味わえます。
一方、TPSは、Third Person Shooter(サードパーソンシューター)の略称で、三人称型のシューティングゲームです。自分自身のキャラクターを俯瞰で捉えることができるため、FPSに比べれば死角ができにくく、プレイしやすい傾向にあります。
エーペックスレジェンズ(Apex Legends)
エーペックスレジェンズは、2019年にRespawn Entertainmentが配信を開始したFPSゲームです。人気作タイタンフォールシリーズのスピンオフとして制作され、3人1組のチーム制で行うバトルシステムや、最大60人参加可能なバトルロワイヤルシステムの採用によって人気を博しました。それぞれに特異なアビリティを持つレジェンドを使用することでゲームにより複雑な戦略性が生まれ、eスポーツと言えばエーペックスレジェンズをイメージする人が多い位、主要なタイトルとして扱われています。
フォートナイト(FORTNITE)
フォートナイトは、2017年にEpic Gamesが販売を開始したTPSゲームです。それまでメジャーではなかったバトルロイヤルモードが話題となりました。オンライン対戦によって最大で100人のプレイヤーが最後の1人になるまで戦うという競技性の高さに、世界中で多くのファンが熱狂したのも記憶に新しいでしょう。
また、シューティング要素だけでなく建築モードを採用することで、より戦略性の高い競技が可能となり、世界のeスポーツ大会でもメジャータイトルとして扱われています。
ヴァロラント(VALORANT)
ヴァロラントは、2020年にライアットゲームズが配信を開始したFPSゲームです。5対5のチーム戦がメインであり、ただ戦うだけではなくスパイクと呼ばれる爆弾の設置をめぐる攻防が本作最大の魅力と言えるでしょう。
個人のスキルもさることながら、チーム間での連携が重要視される点が高く評価され、高校eスポーツシーンでも採用されています。
世界ツアーも実施しており、毎年行われるVALORANT Champions Tourは、公式世界王者を決める戦いとして大きな注目を集めます。
オーバーウォッチ(Overwatch)
オーバーウォッチは、2016年にブリザードエンターテイメントが配信を開始したFPSゲームです。プレイヤーは特有の能力を持った個性豊かなキャラクターを選び、5対5のチーム戦で競技します。2022年には続編となるオーバーウォッチ2の配信が開始されました。
オーバーウォッチは2018年から世界リーグマッチを展開しており、2024年以降はオーバーウォッチチャンピオンシリーズとして新たなリーグマッチが開催されています。
MOBA
MOBAとは、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナの略称です。プレイヤーはチームごとに自陣の守備と敵陣の拠点破壊を目的に競い合います。RTS(リアルタイムストレテジー)からの派生ジャンルとされていますが、世界中で人気が高まっているジャンルです。
ドータ2(Dota2)
ドータ2は、2013年にValve Corporationが配信を開始したMOBAゲームです。前作となるドータ オールスターは人気作ウォークラフトⅢのModとして作成されており、独立された作品として配信されたのはドータ2のみです。
MOBAの始祖とも呼ばれる伝説的なタイトルであり、5体5に分かれてお互いのタワー破壊や守備を目的とした攻防が楽しめます。毎年8月に開催されているドータ2の公式世界大会The Internationalは、世界最高峰の大会とされており、賞金総額も世界最高額を記録しています。
リーグオブレジェンド(League of Legends)
リーグオブレジェンドは、2009年にライアットゲームズが配信を開始したMOBAゲームです。配信直後から爆発的な人気を得て、2012年には世界で最もプレイされたゲームとなりました。日本での配信が開始されたのは2017年であり、世界からはやや遅れをとる形になったものの、国内のプレイヤーも右肩上がりに増加しています。
本作は、ヴァロラントと同じく高校eスポーツシーンで頻繁に採用されており、国外はもちろん国内でも多くの大会が開催されています。
格闘ゲーム
格闘ゲームは、プレイヤーが1人のキャラクターを操作し、相手キャラクターと直接対戦するゲームです。キャラクターの持つ能力に加え、プレイヤーのスキルが試されるゲームジャンルでもあります。
相手を倒したら勝ち、という非常にシンプルな内容なので、競技シーンでも頻繁に採用さているのが特徴です。また、日本は世界でも人気を誇る格闘ゲームを複数開発していることから、格闘ゲーム強豪国として知られています。
ストリートファイター6
ストリートファイターは、1987年にカプコンが販売を開始した格闘ゲームです。日本のゲームメーカーが開発したゲームで、非常に高い人気を獲得し、アーケード版も根強い人気を誇っています。シリーズ最新作のストリートファイター6は2023年に発売開始されました。本作はeスポーツシーンでの起用を視野に入れて設計されており、世界の競技シーンでも頻繁に採用されています。
鉄拳8
鉄拳は、1994年にバンダイナムコエンターテイメントが販売を開始した格闘ゲームです。ストリートファイターと同じく、日本発の格闘ゲームとしてソフト版、アーケード版ともに絶大な支持を獲得してきました。最新作である鉄拳8は、2024に発売開始されています。本作も主要な格闘ゲームとして世界中のeスポーツ大会で採用された実績を持ち、世界初開催のeスポーツワールドカップでも競技タイトルに選出されています。
スポーツ
スポーツを主題としたスポーツゲームは、世界中で親しまれています。野球やサッカーなどの実在するスポーツはもちろん、ゲーム上の架空のスポーツをモチーフにしたタイトルも人気です。得点などで勝敗が理解しやすく、競技性の高さからeスポーツ種目としても頻繁に取り上げられています。
ロケットリーグ(Rocket League)
ロケットリーグは、2015年にPsyonixから配信が開始されたスポーツゲームです。本作では、さまざまな機能を持った特殊な車「ロケットカー」を操作してサッカーのようなスポーツを行います。競技はサッカー方式、アイスホッケー方式、バスケットボール方式などがありますが、eスポーツシーンでは4対4で対戦するサッカー方式を採用することが多いです。競技性の高さや分かりやすさから、日本国内では高校eスポーツシーンでよく採用されており、2024年には同作に打ち込む高校eスポーツ部の青春を描いた映画「PLAY!~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~」がeスポーツを題材にした映画として上映されました。
eフットボール(efootball)
eフットボールは、2021年にコナミデジタルエンタテイメントから配信が開始されたスポーツゲームです。実は、前身は人気サッカーゲーム「ウイニングイレブン」であり、同作は海外版として「Pro Evolution Soccer」として展開されていました。タイトルの統一を目的に最新作を「eフットボール」としたと言われています。
実在するクラブチームが作中に登場しており、eスポーツファンだけでなくサッカーファンも楽しめる作品です。
レーシングゲーム
レーシングゲームは、車やバイクなどの乗り物を操作して競争するゲームです。実際の車に似せたリアルなレーシングゲームもあれば、非現実的なキャラクターなどで競うレーシングゲームもあります。
レーシングゲームはアーケードゲームや体感型ゲームとしても人気が高く、ハンドルを模したコントローラーを使用するなど、臨場感が味わえるのが特徴です。
グランツーリスモ7(GRAND TURISMO)
グランツーリスモは、1997年にソニー・インタラクティブエンタテイメントより開発、販売されたレーシングゲームです。2025年9月までにシリーズ累計1億本以上を売り上げた人気シリーズであり、最新作のグランツーリスモ7は2022年に配信が開始されました。
リアルなグラフィックと操作感によって、実在する車を運転している感覚を味わえるのが同作の魅力です。また、世界各国の人気レーサーが教官として登場するシーンもあり、レーシングファンからも支持されています。
アセットコルサコンペティツィオーネ(Assetto Corsa Competizione)
アセットコルサコンペティツィオーネは、2022年に株式会社オーイズミ・アミュージオから配信されたレーシングゲームです。より実物の車に近い感覚を再現した操作が可能になっており、時間や天候によってコースの状態が変化するなど、本物のカーレーシングさながらの臨場感が味わえます。高級スポーツカーブランドとして知られるランボルギーニが2024年に開催したeスポーツ大会では、同作が種目タイトルに選出されました。
DCG
DCGとは、デジタルカードゲームの略称です。デジタルデータを利用したトレーディングカードゲームで、現実では不可能な視覚効果や演出が魅力のジャンルです。タイトルごとにルールが厳密に決まっているため、最初はゲームの流れやルールを覚えるのが難しいと感じる人も少なくありません。しかし、戦略性が高くランダムに弾けるレアカードの存在などもあり、無課金でも十分に楽しめることから老若男女、幅広い層に人気です。
シャドウバース(Shadowverse)
シャドウバースは、2016年にCygameが開発、配信したDCGです。スマートフォン、タブレット、PC向けゲームとして配信されました。開発の際にeスポーツ種目としての使用を念頭に入れていたこともあり、競技性の高さや勝敗の分かりやすさなどから、主要なゲームタイトルとして数々のeスポーツ大会で種目採用されています。
国内でも賞金付き大会が開催されており、2021年に開催された「RAGE Shadowverse 2021 Winter」では優勝賞金400万円が設定されたことでも大きな話題となりました。
ハースストーン(Hearthstone)
ハースストーンは、2014年にブリザードエンターテイメントが開発、配信したDCGです。同社が配信した「ウォークラフト」の世界観をモチーフとしており、2018年には世界のプレイヤー人口が1億人を超えたと発表されています。
同作もDCGとして世界の競技シーンで種目タイトルとして選出されており、2014年の世界大会では10万ドルの賞金が設定されて、注目を集めました。
パズルゲーム
パズルゲームは、さまざまなパズルを解いていくゲームですが、eスポーツでは主に競技性の高いものだけが選出されます。パズルを解くことで、相手プレイヤーにダメージを与えることができるような、勝敗がつくものに限って選出されるのが特徴です。
パズル&ドラゴンズ
パズル&ドラゴンズは、2012年にガンホーオンラインエンターテイメントが配信を開始したパズルゲームです。スマホ・タブレット用ゲームとして配信され、通称「パズドラ」として人気を博しました。スクロール型パズルを連鎖させると、相手に大きなダメージを与えることができます。スマートフォンで手軽にプレイできることから競技人口も多く、国内でもプロ向け競技会、一般向け競技会などが数多く開催されています。
ぷよぷよeスポーツ
ぷよぷよは、1991年に徳間書店インターメディアから発売されたパズルゲームです。ぷよと呼ばれるキャラクターを同色同士でくっつけると消える落ち物ゲームとして人気を博しました。最新作であるぷよぷよeスポーツは、2019年に配信が開始され、eスポーツシーンでも競技タイトルとして頻繁に採用されています。
シンプルなルールと競技性、奥の深さなどから、シニア世代にも人気が高く、福祉としてeスポーツを行う際にも重宝されています。
eスポーツの市場規模と成長率

eスポーツの市場は、世界全体で年々拡大を続けており、2024年には20億ドル(約3,000億円)規模に到達しました。視聴者数もグローバルで5億人以上に達しており、既存のプロスポーツに匹敵する注目度を持つコンテンツとなっています。
日本国内でも、スポンサー収益・大会規模・メディア露出のいずれも右肩上がりです。特に企業のマーケティング活用や、教育機関・自治体の導入が進んだことで「単なる娯楽」から「成長産業」へと位置づけが変わりつつあります。
以下記事ではeスポーツの成長について詳しく解説しています。そちらも併せてご覧ください。
国内eスポーツ市場の規模は125億円に!2030年まで年次20%以上の規模で成長するとの予想も?
続いては、eスポーツが経済に与える影響について詳しくひも解いてみましょう。
プロゲーマーという新たな職業
eスポーツの発展に伴い、「プロゲーマー」という職業が若者を中心に憧れの存在になっています。国内外のトッププレイヤーは、スポンサー収入・配信・グッズ販売など多角的な収益モデルを確立しており、中には年収数千万円規模の選手も存在します。
また、選手としてだけでなく、コーチ、ストリーマー、イベントMC、アナリストなど職域も多様化しており、「デジタル時代のキャリア選択肢のひとつ」として注目されています。
eスポーツカフェ・専門学校などの商業展開
eスポーツの競技人口が徐々に増加していくなかで、気軽にeスポーツをプレイできる環境を提供するeスポーツカフェのような商業施設も増えてきました。その他、eスポーツについて専門的に学べるeスポーツ専門学校やeスポーツスクールなど、eスポーツ需要に対応する新業種の商業展開も見られます。
今後、これらの業種はますます盛り上がりを見せることが予想されるでしょう。
高等学校の部活・英会話教室など教育分野への活用
eスポーツがスポーツとして認められるなかで、高等学校での部活として活用されるケースも増えてきています。eスポーツの教育効果なども認められつつあり、高校eスポーツシーンも年々盛り上がりを見せているのが現状です。また、eスポーツをプレイしながら英会話を学ぶスクールなど、本来のeスポーツの意図とは異なる部分での学習効果にも注目が集まっています。
ゲームというツールを用いるからこそ、子供達が意欲的に学習に取り組めるとし、今後ますます教育分野への参入が期待されるでしょう。
高齢者・地方創生などの活用分野
eスポーツは若者だけのものではなく、教育や高齢者支援、地域活性化のツールとしても活用が進んでいます。
地方自治体では「eスポーツによる町おこし」や、高齢者施設での脳トレ的なゲーム活用も増加中です。世代を超えて楽しめるコンテンツとして、今後も幅広い分野への展開が期待されています。
自治体での取り組みについては下記でも詳しく紹介しています。興味のある方は是非ご覧ください。
eスポーツのオリンピック種目化について

eスポーツがスポーツとして認められるようになって以降、多くのファンの間でオリンピックの種目化が熱望されてきました。
2024年に初のワールドカップを開催
世界で人気を博すeスポーツですが、2024年には世界初のワールドカップがサウジアラビアのリヤドで開催されました。これまで世界最大のeスポーツ大会として開催されたていた「Gamers8」の後継大会として開催され、サウジアラビア皇太子であるムハンマド・ビン・サウマーン氏が開催を宣言し、世界的な話題を集めました。
2024年、2025年大会も好評の中幕を閉じ、2026年大会の開催も決定されています。
アジア競技会での正式種目化
アジア圏の合同スポーツ競技会として長い歴史を持つアジア競技会では、eスポーツが正式種目として採用されています。eスポーツが世界的競技会で正式種目として認められるのはこれが初めてであり、初採用された2022年大会は歴史的な大会として注目を集めました。日本の愛知・名古屋で行われる2026年大会では、eスポーツ11タイトルが正式種目として採用される見通しであり、日本人選手の活躍が大いに期待されます。
【最新情報】2027年開催予定のオリンピックeスポーツゲームズは開催見送り
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「オリンピックでのeスポーツは規制が必要だ」と話しています。
バッハ会長が問題にしている、オリンピックでeスポーツを採用するための課題は、以下の2つです。
- 暴力的内容の制限
- eスポーツを管理する国際団体の不足
これを受けて、「NBA 2K」や「FIFA」など、実際のスポーツをバーチャルで行う形のゲームが、オリンピックでのeスポーツとしてはふさわしいと考えられています。
実際、2023年6月シンガポールにおいて、IOCが初開催した「オリンピック・eスポーツ・シリーズ」では、以下の10種目が行われました。
- アーチェリー(Tic Tac Bow)
- 野球(WBSC eBASEBALL™:パワプロ)
- チェス(Chess.com)
- 自転車(Zwift)
- ダンス (ジャストダンス)
- モータースポーツ (グランツーリスモ)
- セーリング (バーチャルレガッタ)
- 射撃 (ISSFチャレンジ・フィーチャリング・フォートナイト)
- テニス(テニスクラッシュ)
- テコンドー(バーチャルテコンドー)
さらにIOCのバッハ会長は同年10月、インドのムンバイで行われた総会の開会式で「オリンピック・eスポーツ・ゲームズ」と題した新設大会の構想を明らかにしました。
しかし、2025年10月30日にIOCはオリンピック・eスポーツ・ゲームズの2027年開催見送りを発表しました。eスポーツ大国であるサウジアラビアとのパートナーシップ契約の終了が関係していると推察されていますが、明確な理由としては発表されていません。
IOCとしてはこのまま中止とするのではなく、新たなアプローチを模索している様子なので、今後の展開に注目が集まるでしょう。
プロeスポーツプレイヤーのなり方や年収は?

eスポーツについて知るなかで、プロeスポーツプレイヤーに憧れる人もいるでしょう。特に、子ども達のなかでも「将来はeスポーツプレイヤーになりたい」という声も聞かれます。
ここからは、プロeスポーツプレイヤーになる方法や年収について紹介していきます。
プロeスポーツプレイヤーになる方法
eスポーツプレイヤーには特に必要な資格などはありません。日本eスポーツ連盟がプロライセンスの発行を行っていますが、必要という訳ではなく、ライセンスを持たずにプロとして活躍している選手も数多くいます。
要は、誰でもプロeスポーツプレイヤーを名乗ることができるということです。ただし、「プロeスポーツプレイヤー限定大会」などに出場する場合、ライセンスの所持や事務所(チーム)への所属が条件とされているケースもあります。
プロを目指すのであれば、まずは一般向け大会で実績を挙げ、プロチームに所属するのがよいでしょう。また、プロチームは不定期にチームメンバーを募集していることもあるため、情報をこまめにチェックして、チャンスがあれば応募するのもおすすめです。
プロeスポーツプレイヤーの年収は?
国内のプロeスポーツプレイヤーの年収相場は300~700万円といわれています。国内大会に比べ、世界大会は賞金の設定額が大きいため、海外での実績を多くもつ選手ほど高い年収を得ている可能性が高いでしょう。
また、プロeスポーツプレイヤーはeスポーツ大会の賞金のほか、スポンサー契約や動画配信などさまざまな収入源を持っています。容姿やキャラクター性の良さからスポンサーを多く獲得しているケースや、話が上手く動画編集技術が高いケースでは、一般的なプロeスポーツプレイヤーよりも高い年収を得ている可能性もあります。
eスポーツの賞金ってどれくらい?
eスポーツは世界で非常に人気が高まっており、1回の大会で数億円が動くこともあります。
eスポーツのデータサイト『Esports Earnings』から、「高額賞金のゲームベスト5」について見ていきましょう。
なお、ゲームタイトル横の金額は、そのタイトルで開催された国際大会の賞金を合算したものです。
| 1位:Dota 2 | $314,455,846.42(約415億5,300万円) |
| 2位:Fortnite | $154,851,332.43(約204億6,300万円) |
| 3位:Counter-Strike: Global Offensive | $150,302,254.64(約198億6000万円) |
| 4位:League of Legends | $100,690,798.39(約133億円) |
| 5位:Arena of Valor | $70,371,367.25(約93億円) |
非常に大きな金額が動く大会なので、ビジネスとしてeスポーツに参入する企業も相次いでいます。
チームのスポンサーになる、大会を開催するなどすれば、広告収入や大会の放映による収入が見込めるでしょう。
eスポーツの市場規模はさらなる拡大が期待されており、高い経済効果が見込まれる注目の市場といえます。
eスポーツの課題と未来

eスポーツが成長を続ける一方で、その健全な発展にはいくつかの課題が存在します。競技としての基盤づくりや、年齢層に応じた配慮、そして長期的に文化として根付かせるための視点が欠かせません。ここでは以下の3つのテーマから、eスポーツの未来を見据えた課題と展望を掘り下げます。
- 競技環境の整備と安全性
- 若年層への影響・依存症リスク
- 持続可能な競技文化の構築
いずれもeスポーツにとって大切な考え方です。
競技環境の整備と安全性
eスポーツは物理的な接触がない一方で、通信環境やハードウェアの公平性、長時間プレイによる健康リスクなど、独自の安全性が問われる競技です。
プロの大会では設備の統一や不正防止対策が進んでいますが、アマチュアレベルではまだ整備が不十分。運営体制の強化や、選手・観客を守るガイドラインの普及が今後の重要な課題となります。
若年層への影響・依存症リスク
eスポーツが若者に人気を集める一方で、過度なプレイによる学業や生活への影響、ゲーム依存への懸念も指摘されています。
親世代や教育機関の理解が追いつかない中で、無計画な時間管理がトラブルの原因に。大会参加やトレーニングの枠組みを「教育的視点」で捉え直し、健全な関わり方を育てる支援体制の構築が求められています。
持続可能な競技文化の構築
eスポーツを一時的なブームで終わらせず、持続可能な「競技文化」として社会に定着させるには多面的な取り組みが必要です。
選手の引退後のキャリア支援、地域コミュニティでの継続的な活動、スポンサー依存に偏らないビジネスモデルなど、産業全体での成熟がカギを握ります。また、多様な世代が関われる仕組みづくりもeスポーツの未来を切り開く重要な一歩です。
eスポーツに関するよくある質問(FAQ)

eスポーツに興味を持った方が最初に感じる疑問や不安をまとめました。以下でわかりやすく解説していきます。
Q1:eスポーツと普通のゲームの違いは何ですか?
A:eスポーツは「Electronic Sports(エレクトロニック・スポーツ)」の略で、競技性のあるゲームを使って勝敗を争うスポーツの一種です。遊び目的のゲームと違い、明確なルールと勝敗があり、大会やプロ制度が存在する点が特徴です。サッカーにおける草サッカーとプロリーグのような違いと考えるとわかりやすいでしょう。
Q2:誰でもプロゲーマーになれますか?
A:基本的に年齢や学歴、資格などの制限はありません。腕前や戦術、コミュニケーション能力などが評価されれば、誰でもプロゲーマーを目指せます。ただし、実力だけでなく継続力・人柄・配信活動など総合的な要素が求められるため、簡単な道ではありません。プロチームに所属するにはスカウトやトライアウトへの参加が主な方法です。
Q3:eスポーツは勉強や健康に悪影響を与えませんか?
A:適切に取り組めば、思考力・判断力・集中力の向上など、教育的な効果もあります。ただし、長時間のプレイや不規則な生活になると、視力低下・睡眠不足・依存症のリスクが高まるため、親子でのルールづくりや学校・クラブによる適切な指導が重要です。現在では教育機関や自治体も健康的なプレイ環境の整備を進めています。
Q4:日本の有名なeスポーツチームにはどんなものがありますか?
A:日本国内では以下のような有名プロチームが活動しています:
- ZETA DIVISION(ゼータディビジョン):VALORANTやストリートファイターなどで世界的にも活躍
- DetonatioN FocusMe(DFM):League of Legends部門が有名で、国際大会出場実績もあり
- SCARZ(スカーズ):Apex LegendsやCODで強豪として知られる
これらのチームはYouTubeやTwitchなどでも活動しており、プレイだけでなくエンタメ性でも人気を集めています。
Q5:子どもにeスポーツを習わせても将来性はありますか?
A:eスポーツは現在、世界で1,000億円を超える市場を持ち、将来的な成長も期待されています。プロゲーマーだけでなく、実況・運営・分析官・マーケターなどの関連職種も多様です。習い事としては、「楽しみながら論理的思考やチームワークを育てる場」として注目されています。ただし、職業に直結するには相当な努力と適性が求められる点も理解しておくべきです。
今後のeスポーツ市場に関しては下記で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
日本eスポーツの市場規模を解説!今後の動向や世界のeスポーツ市場についても紹介
eスポーツを楽しもう!
eスポーツは老若男女、体格の違いや障害の有無を問わず、誰もが挑戦できる新しい形のゲームです。
楽しく遊んで競い合い、人種や国籍に関係なく楽しめるeスポーツの可能性は無限大です。
これを機会にeスポーツをもっと知り、大会を観戦したり参加したりして楽しんでみてください。
eスポーツスクールAFRAS(アフラス)ではeスポーツの知識を深めることができるだけではなく、eスポーツのスキルアップも実現します。日本国内だけではなく、世界市場で成長を遂げているeスポーツについて、もっと詳しく知りたい方やプロとなって活躍したいと考えている方は是非AFRASを頼って下さい!
